独立前の弁護士が開業予定地の事務所のサイトを調べる4つの項目
この記事のポイント
開業予定地には、同じ分野を扱う事務所がすでにあります。これから作るサイトに何を載せるかは、その事務所のサイトを調べてから決められます。見る場所は取扱分野・費用・相談の進み方・弁護士本人の4つで、項目ごとに「3つとも書いている」「分かれている」「どこも書いていない」に分かれます。独立6ヶ月前のこの段階で、開業日に公開するサイトに載せる項目の一覧ができます。
目次
- なぜ独立6ヶ月前に開業予定地の事務所を調べるのか
- 見る場所を4つに絞る — 取扱分野・費用・相談の進み方・弁護士本人
- 調べる相手の選び方と、記録の取り方
- 3つを並べると項目が3つに分かれる — 共通・分かれる・どこも書いていない
- 項目1 取扱分野の見せ方 — 一覧の名前ではなく、分野ごとのページがあるか
- 項目2 費用の見せ方 — 金額の水準ではなく、初回相談の受け方と総額の見通し
- 項目3 相談の進み方 — 申し込みから面談までに何が起きるか
- 項目4 弁護士本人の見え方 — 経歴の並びではなく、相談の受け方と対応の姿勢
- よくある失敗と、3つが似ていて差が出なかったときの扱い
- まとめ — 次のステップ
扱う分野は決めた。次はサイトだが、何を載せればよいのかが分からない。そう感じて、開業予定の地域で同じ分野を扱う弁護士のサイトを開いてみる方は少なくありません。ところが、取扱分野の並びはどこも似ていて、費用のページも似たような表。相談の流れの説明も、どこかで見た書き方に見えます。参考にしようとして開いたのに、自分が何を載せるべきかは決まりません。
これは、サイトを全体として眺めているために起きます。全体の印象で比べると「どこも整っている」で終わってしまいます。見る場所を先に決めて、書いてあるものの名前だけを書き取っていくと、開業時に載せる項目が表の上に残ります。
この記事では、調べる相手の選び方、見る4つの項目、書き取った内容の分かれ方と、そこから開業時に載せる項目を決めるまでを扱います。読み終えると、独立6ヶ月前の時点で、開業日に公開するサイトに何を載せるかの一覧を自分で作れる状態になります。制作費の相場と、公開してから検索で見つかるようになるまでの期間は扱いません。
なぜ独立6ヶ月前に開業予定地の事務所を調べるのか
ここでは、この調査を独立準備のどの時点に置くかが決まります。「ターゲット分野の選定」で扱う分野を決めたところなので、次は、その分野でサイトに何を載せるかを決める材料を集める段です。理由は3つあります。
理由1: 物件が決まっていなくても、地域と分野が見えていれば調べられる
独立6ヶ月前は、事務所を構える物件も、料金の決め方も、まだ固まっていない時期です。それでも、開業する地域のおおよその見当と、扱うと決めた分野の2つがあれば、この作業は始められます。調べるのは他の事務所のサイトに書かれていることであって、自分の事務所の中身ではないからです。
理由2: 集めた材料が、サイトの形を決める判断に使われる
次の記事で扱うのは、事務所サイトから始めるか、分野を絞った専門サイトを足すかという、サイトの形の判断です。この判断は、開業予定地の事務所がどういうサイトを持っているかを見てからのほうが決めやすくなります。
理由3: 原稿を書く段になってからでは、載せる項目の取捨が終わっている
制作会社との面談は独立3ヶ月前、原稿を渡すのはさらにその後です。そこまで進んでから調べ始めると、載せる項目はすでに提案の形で決まっていて、材料を足す場所がありません。まだ勤務している時期のほうが、腰を据えて画面を開く時間を取れます。
開業日から逆算した進み方
時期の目安は次のとおりです。準備の進み具合で前後してかまいませんが、順番は入れ替えないでください。
| 時期 | やること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 独立6ヶ月前の前半 | 扱う分野を決める(「ターゲット分野の選定」) | 主力の分野と補完の分野が決まっている |
| 独立6ヶ月前の後半 | 開業予定地の事務所のサイトを調べ、4つの項目を書き取る | 事務所A・B・Cの書き取りが1枚にそろっている |
| 独立5ヶ月前 | サイトの形を決める(「専門サイト vs 事務所サイト」) | 開業時に作るサイトの形が決まっている |
| 独立3ヶ月前 | 制作会社と面談し、頼む範囲を決める | 載せる項目の一覧を面談に持って行けている |
| 独立2ヶ月前から1ヶ月前 | ドメインを用意し、各ページの原稿を書く | 一覧の項目が原稿の形になっている |
| 開業日 | 公開。相談の入口を記録する欄を使い始める | 記録の欄が使える状態になっている |
この記事が担うのは、上の表の2行目です。
見る場所を4つに絞る — 取扱分野・費用・相談の進み方・弁護士本人
ここでは、他の事務所のサイトのどこを見るかが決まります。見る場所は、次の4つに絞ります。
- 取扱分野の見せ方 — 扱っている分野が、一覧の名前だけなのか、分野ごとのページになっているのか
- 費用の見せ方 — 初回相談の受け方と、依頼したあと何にいくらかかるかが書いてあるか
- 相談の進み方 — 申し込んでから面談までに何が起きるかが書いてあるか
- 弁護士本人の見え方 — 経歴のほかに、受けてきた相談の中身や対応の姿勢が書いてあるか
この4つをどういう根拠で置いているか
この4つは、初めて弁護士に依頼する人が事務所のサイトで確かめようとすることを、ウェブ集客を支援する側の見立てとして置いたものです。相談者が実際にどのページを開いたかを調べた数字を持っているわけではありません。ですから、4つのうちどれが相談の数にどれだけ効くか、という順位は付けません。4つを同じ重さで並べて、そろって置かれている項目から埋めていく、という使い方をします。
この見立てが自分の事務所でも当たっているかどうかは、開業したあとに確かめられます。相談を受けたときに、連絡の前にサイトを見たか、見たならどのページを見たかを聞いて、記録する欄に一行だけ残していく方法です。開業前のこの段階で用意するのは記録そのものではなく、その欄と、誰がいつ書くかの決めごとまでです。表計算のファイルで足ります。
デザインの欄を置かない理由
4つの中に、見た目やデザインの欄はありません。デザインを整えること自体を否定するものではありませんが、この作業で決めるのはこれから作るサイトに何を載せるかです。載せる中身が決まらないまま見た目の話に進むと、制作会社との面談でも、出てきた案に対して意見を言う材料がありません。
もう一つ、開業予定地の事務所のサイトを見て「こちらのほうが良い」「こちらは古い」と評価しないでください。見るのは書いてあるものの有無と細かさであって、相手の事務所の良し悪しではありません。評価する作業だと考えると、書き取りが印象の言葉に寄り、これから作るサイトに移せるものが残らなくなります。
調べる相手の選び方と、記録の取り方
ここでは、誰のサイトを、どういう順で、どう書き取るかが決まります。手を動かす作業はこの節です。
相手を3つ選ぶ
開業する地域の地名と、扱うと決めた分野の名前を並べて検索します。上のほうに出てくる事務所のうち、開業したときの自分と規模の近いところを3つ選びます。弁護士1名から数名で運営している事務所が目安です。
規模が大きく離れた事務所は外します。ページの数も更新の量も、独立直後の一人の体制では追えないためです。参考にしようとすると、開業日までに用意できない項目が一覧に並ぶことになります。
相手を選ぶときの条件
- 開業する地域、または相談者が同じ範囲で探しそうな地域にある
- 扱うと決めた分野を、取扱分野に挙げている
- 開業したときの自分と規模が近い(弁護士1名から数名)
- 大規模な事務所の支店は外す
- 候補の地域が複数あるなら、地域ごとに分けて3つずつ選ぶ
同じ順で通して見る
3つの事務所を、同じ順で通して見ます。1つ目を4つの項目まで見てから2つ目に移り、また4つの項目を見る、という進め方です。項目ごとに3つを行き来すると、どこで何を見たかが混ざります。1つの事務所につき1枚使い、上に事務所A・事務所B・事務所Cと書いておくと、あとで並べられます。
書いてあるものの名前で、1項目1行
書き取りは、印象の言葉ではなく、書いてあるものの名前で残します。
| 項目 | この書き方で残す | この書き方では残さない |
|---|---|---|
| 取扱分野の見せ方 | 「分野ごとのページあり。相続のページに相談の入り方と進め方の記載」 | 「分野の説明が充実している」 |
| 費用の見せ方 | 「料率の表のみ。初回相談の受け方の記載なし」 | 「料金が分かりにくい」 |
| 相談の進み方 | 「お問い合わせくださいの一行のみ」 | 「問い合わせしづらい」 |
| 弁護士本人の見え方 | 「経歴と写真。受けてきた相談の中身の記載なし」 | 「人柄が伝わってこない」 |
右の列の書き方をすると、そのあとで載せる項目を決められません。「分かりにくい」は、自分が何を書けばよいかを教えてくれないためです。
記録する表
書き取りがそろったら、次の形に写します。相手の欄には事務所名を入れず、事務所A・B・Cで構いません。いちばん右の列は、次の節で埋めます。
| 見る項目 | 事務所A | 事務所B | 事務所C | 分かれ方 |
|---|---|---|---|---|
| 取扱分野の見せ方 | ||||
| 費用の見せ方 | ||||
| 相談の進み方 | ||||
| 弁護士本人の見え方 |
3つを並べると項目が3つに分かれる — 共通・分かれる・どこも書いていない
ここが、この作業でいちばん効く節です。書き取った3つの事務所を横に並べると、項目ごとに3つのどれかに分かれます。この分かれ方が、そのままこれから作るサイトに載せる項目の扱いを決めます。
3つの分かれ方と、それぞれの扱い
| 分かれ方 | 開業予定地で意味すること | これから作るサイトでの扱い |
|---|---|---|
| 3つとも書いている | その地域でその分野を扱う事務所が、そろってその欄を置いている | 開業日に公開する版に入れる。無いと、そこだけ書かれていない状態になる |
| 1つか2つが書いている | 事務所によって分かれている欄。置き方も内容も一様ではない | 入れるかどうかを自分で決める。書ける中身があるなら、開業時に入れておく |
| どこも書いていない | その地域では置かれていない欄 | すぐには埋めない。書ける中身が自分の側にあるかを先に確かめる |
「どこも書いていない」を、空いている場所と読まない
3つとも書いていない項目を見つけると、そこが空いていると読みたくなります。ここは慎重に扱ってください。誰も書いていない理由は、書かないと決めている事務所の判断かもしれませんし、書くだけの中身をそろえる手間に見合わないと考えられているのかもしれません。3つを見ただけでは、どちらなのかは分かりません。
これは、開業予定地の事務所を調べた結果からは判断できないところです。ウェブ集客を支援する側の判断として、開業時にはこの欄を後回しにすることをおすすめします。開業して相談を受けるようになると、聞かれることの中に、その欄に書ける中身が出てきます。そのときに書くほうが、書ける範囲がはっきりします。
開業時に載せる項目の一覧を作る
分かれ方が入ったら、最後の一覧に写します。この一覧が、この記事の成果物です。
| 項目 | 分かれ方 | 開業日に公開する版に入れるか | 開業後に足すか |
|---|---|---|---|
| 取扱分野の見せ方 | |||
| 費用の見せ方 | |||
| 相談の進み方 | |||
| 弁護士本人の見え方 |
4つを開業日までにすべて厚く埋める必要はありません。事務所サイトから始めて、扱う分野が固まってから足していく進め方をとる以上、開業日に公開する版と、そのあとに足す版に分けて考えるほうが現実的です。
以下、4つの項目を順に見ていきます。それぞれ、他の事務所のサイトで何を見るか、これから作るサイトに何を書くかの順で並べます。
項目1 取扱分野の見せ方 — 一覧の名前ではなく、分野ごとのページがあるか
ここでは、取扱分野の欄を見るときに、どこまで見れば判定が付くかが分かります。最初に見るのがこの項目です。開業予定地の事務所を並べたときに、いちばん「どこも同じだ」と見えやすいのがここだからです。
他の事務所のサイトで見る3つの型
相続・離婚・交通事故・債務整理と並んだ一覧は、どの事務所のサイトにも似た形で載っています。ところが、一覧の名前が同じでも、その先が同じとは限りません。おおむね次の3つに分かれます。
| 分野の見せ方 | 相談者が受け取るもの | これから作るサイトでどう書くか |
|---|---|---|
| 取扱分野を一覧で並べているだけ | 扱っている分野の名前。当てはまるかは相談者の側で判断することになる | 主力と決めた分野から、独立したページを1つ作る。開業時は1つの分野で足りる |
| 分野ごとのページはあるが、法律の一般的な解説になっている | 制度の説明。事務所が何をするのかは分からない | 解説だけで終えず、その分野での相談の入り方・進め方・かかる期間を書く |
| 分野ごとに、受けてきた相談の型と進め方まで書いている | 自分の状況に近い話があるか。頼んだあとに何が起きるかの見当 | 同じ細かさで書けるのはどこまでかを、開業前に決めておく |
事務所A・B・Cが表のどの行に当たるかを書き取ります。3つとも1行目なら、その地域では分野ごとのページを置いていないということです。逆に3つとも2行目や3行目にあるなら、一覧の名前だけのサイトで開業すると、その欄だけが書かれていない状態になります。
一覧だけの状態と、分野ごとのページがある状態で何が変わるか
変わるのは、相談者と出会う場所の数です。相続の分け方で揉めている人が相続の言葉で探したとき、その言葉が載っているページが無ければ、見つけてもらう場所が一つ減ります。開業予定地の事務所だけが分野ごとのページを持っていれば、分野の名前で探した人はそちらに辿り着きます。一覧の名前が同じでも、ここで分かれます。
開業前でも書ける3つ
分野ごとのページを作ると決めたとき、開業前の段階で困るのは、自分の事務所として受任した事案がまだ無いことです。勤務していた事務所の事案について、何をどこまで書けるかは弁護士の側で判断することなので、この記事では扱いません。
そのうえで、個別の事案に触れずに書けるのは次の3つです。この3つは、開業前でも自分の言葉で書けます。
- どういう入り方の相談が多いか — その分野で相談に来る人が、どの段階で来るか(相手方から書面が届いた時点、話し合いが行き詰まった時点、など)
- 受けたあと何をするか — 依頼を受けてから終わりまでに、事務所の側で進めることを順に
- どのくらいの期間がかかるか — 幅で構いません。長くかかる場合があることも含めて
取扱分野の見せ方で確かめること
- 事務所A・B・Cが、3つの型のどこに当たるかを書き取ったか
- 3つとも分野ごとのページを持っているか。持っていないか
- そのページに、法律の解説だけでなく、相談の入り方・進め方・期間が書かれているか
- これから作るサイトで、独立したページを作る分野を1つ決めたか
- その分野について、上の3つを自分の言葉で書けるか
項目2 費用の見せ方 — 金額の水準ではなく、初回相談の受け方と総額の見通し
ここでは、費用の欄を見るときの見方が決まります。先に決めておくことが1つあります。他の事務所の金額と自分の金額を並べて、高い安いを判定する使い方はしません。金額の水準を比べるには相場を示せる数字が要りますが、それは手元にありませんし、自分の料金をどう決めるかはサイトの外の話です。ここで見るのは、相談者が総額の見通しを持てる書き方になっているかどうかです。
他の事務所のサイトで見る3つの型
| 費用の書き方 | 相談者が持てる見通し | これから作るサイトでどう書くか |
|---|---|---|
| 「相談による」「お問い合わせください」だけ | ない。問い合わせるまで何も分からない | 初回相談の受け方(時間・料金の有無・場所・予約の方法)だけでも先に書く |
| 着手金・報酬の料率の表だけ | 計算の仕方は分かるが、自分の件でいくらになるかは分からない | 料率の表に加えて、料率の外でかかるもの(実費・日当など)と、支払う場面の順を書く |
| 初回相談の受け方と、何にいくらかかるかを並べている | 総額のおおよその見当と、いつ支払うか | 同じ細かさで書けるかを、料金を決める段で確かめておく |
開業前だからこそ、先に決められること
この項目は、独立準備中の弁護士にとって有利に働くところがあります。料金の決め方そのものが、これからだからです。決めるときに、載せ方まで一緒に決められます。
とくに、初回相談の受け方は事案の内容によらず決まります。有料か無料か、時間はどのくらいか、電話やオンラインでも受けるか、予約はどこからするか。これは開業前に自分で決められる項目で、決まればそのまま書けます。依頼したときの総額より先に、会いに行くまでに何が要るのかが分からず、そこで止まる人がいるためです。
額が決まらない部分を、「何によって変わるか」に置き換える
事案によって額が変わる部分は、額を書けません。その代わり、何によって変わるかは書けます。相手方が争ってくるかどうか、話し合いで終わるか手続きに進むか、回数が増えるかどうか。変わる理由が書いてあれば、相談者は自分の場合が幅のどのあたりかの見当を持てます。額を書かないことと、見通しを渡さないことは別です。
費用の見せ方で確かめること
- 事務所A・B・Cが、3つの型のどこに当たるかを書き取ったか
- 3つとも初回相談の受け方を書いているか。書いていないか
- 料率の外でかかるもの(実費・日当など)と、支払う場面の順が書かれているか
- 額が決まらない部分について、何によって変わるかが書かれているか
- これから作るサイトで、初回相談の受け方を料率の表より前に置くと決めたか
項目3 相談の進み方 — 申し込みから面談までに何が起きるか
ここでは、申し込みから面談までの欄を見ます。開業予定地の事務所のサイトを見ると、この欄が「お気軽にお問い合わせください」の一行で終わっていることがあります。逆に、順を追って書いている事務所もあり、この項目は分かれやすいところです。
他の事務所のサイトで見る4つ
見るのは、次の4つが書かれているかどうかです。書き取りは「返事までの目安あり/持ち物の記載なし」のように、有無で残します。
- フォームを送ったあと、誰から、どのくらいで返事が来るのか
- 面談はどこで、どのくらいの時間か。来所のほかに電話やオンラインで受けるか
- 何を持っていけばよいのか
- その場で費用の話までするのか、次の面談になるのか
一人で始める事務所では、開業前に決めておく必要がある
この項目には、独立準備中だからこそ先に決めておくことがあります。開業直後は、フォームを見るのも、電話を受けるのも、折り返すのも自分一人です。サイトに「すぐにご返信します」と書いておいて、法廷に出ている間に返せない状態になると、書いてあることと実際が食い違います。
書く前に、次の3つを決めておきます。決まったものを書けば、食い違いは起きません。
| 決めること | 開業前に決めておく中身 | サイトに書く形 |
|---|---|---|
| フォームを見る時点 | 1日のどの時間帯に見るか | 返事までの目安を、言い切らずに幅で書く |
| 電話を受けられる時間 | 受けられない時間帯と、そのときの扱い | 受付の時間と、つながらないときの連絡の方法 |
| 面談の受け方 | 来所・電話・オンラインのどれで受けるか | 受ける方法と、場所・所要の時間 |
この3つは、事務所の運び方そのものです。独立6ヶ月前に他の事務所の書き方を見ておくと、何を決めておく必要があるかが先に分かります。
相談の進み方で確かめること
- 事務所A・B・Cが、申し込みから面談までを順を追って書いているか
- 返事までの目安・面談の場所・持ち物・その日にどこまで話すかの4つを、有無で書き取ったか
- 3つとも一行で終わっているか。分かれているか
- これから作るサイトのために、フォームを見る時点・電話を受けられる時間・面談の受け方を決めたか
- 決めた中身と、サイトに書く文が食い違っていないか
項目4 弁護士本人の見え方 — 経歴の並びではなく、相談の受け方と対応の姿勢
ここでは、弁護士の紹介の欄を見ます。この項目は、独立したばかりの弁護士にとって書きにくいところで、どう扱うかを決めておく価値があります。
経歴の欄では分かれにくい
出身校、登録年、所属する弁護士会、役職。開業予定地の事務所を並べても、この欄は同じ形で並んでいて、分かれにくいところです。並び方が同じであれば、経歴の項目を増やしても、相談者がそこで選び分ける手がかりにはなりにくくなります。
独立したばかりの時期は、経歴の欄に書ける項目が多くありません。ここで無理に埋めようとするより、経歴の外側に手をかけるほうが、開業時のサイトとしては形になります。
経歴の外側に何を書くか
分かれるのは、経歴の外側です。どういう相談を受けてきたか、相談を受けるときにどういう進め方をするか、初めての人にどう説明するか。ここは事務所ごとに中身が違うところで、開業予定地の3つを見ると、書かれていない事務所が見つかることもあります。
何をどこまで書けるかは弁護士の側で判断することなので、この記事では扱いません。個別の事案に触れずに書けるのは、相談の受け方と対応の姿勢のほうです。初回の面談でどこまで話すか、依頼を受けない場合にどう伝えるか、連絡の取り方をどうするか。独立して自分で決められるようになった部分は、そのまま書けます。
写真と本文がずれていないか
写真も同じ項目の中で見ます。見るのは写真の出来ではなく、写っている人と本文が伝える人物像が食い違っていないかです。硬い写真に柔らかい文章が付いていると、相談者が受け取る印象が定まりません。開業時に写真を撮るなら、本文をどう書くかを決めてから撮る順にすると、そろえられます。
弁護士本人の見え方で確かめること
- 事務所A・B・Cの紹介が、経歴の並びで終わっているか、その外側まで書いているか
- 受けてきた相談の中身や対応の姿勢が書かれているのは、3つのうちいくつか
- これから作るサイトで、経歴の外側に何を書くかを決めたか
- 相談の受け方と対応の姿勢のうち、開業前に自分で決められる部分を書き出したか
- 写真を撮る前に、本文で伝える人物像を決めたか
よくある失敗と、3つが似ていて差が出なかったときの扱い
ここでは、この作業でつまずきやすいところと、書き取っても分かれなかった場合の進め方を扱います。
3つが似ていて、どの項目も分かれなかったとき
4つを並べても、どの項目も「3つとも書いている」か「どこも書いていない」に寄ることがあります。開業予定地に同じ規模の事務所が並んでいて、どこも似た型のサイトを持っている場合です。このときに取れる道は2つです。
- 調べる相手を、地域から分野に変える。 開業予定地が横並びなら、その中に手本はありません。相手を地域で選ぶのをやめて、扱うと決めた分野の名前で検索して上のほうに出てくる事務所に変えます。見たいのは、4つの項目の書き方の細かさです。ここで気を付けるのは、規模の違う事務所の作りを丸ごと写さないことです。ページの数や更新の量は事務所の体制で決まりますから、持ち帰るのは、分野ごとのページに何を書き、費用のどこを言葉にしているか、という細かさだけにします
- 扱う分野の中から1つ決めて、そこだけ厚く書く。 もう一つの道は、これから作る側を動かすものです。決めた分野をすべて同じ厚さで書くと、開業予定地の事務所と横並びになります。1つの分野を決めて、その分野だけ、相談の入り方・進め方・費用の見通し・相談の受け方の4つをそろえます。その分野で探している相談者にとっては、比べる相手が減ります。全部の分野でそろえる必要はありません
どちらを先に取るかは、次の記事で決めるサイトの形とつながります。事務所サイトから始めるなら、まず1つ目の道で書き方の細かさを持ち帰るほうが進めやすくなります。
よくある失敗
- 失敗1: 印象の言葉で書き取る — 「分かりやすい」「整っている」で残すと、これから作るサイトに移せるものが残りません。書いてあるものの名前で1行ずつ残します
- 失敗2: 相手の事務所の良し悪しを判定してしまう — 見るのは書いてあるものの有無です。評価に寄ると、書き取りが印象に戻ります
- 失敗3: 4つを開業日までにすべて厚く埋めようとする — 開業準備と並行して進む時期に手を広げると、どれも中途半端になります。公開する版と、後で足す版に分けます
- 失敗4: 調べた結果をそのまま制作会社に渡して「同じように作ってください」と頼む — 出てくるのは写しになります。渡すのは、載せる項目の一覧と、自分で書くと決めた中身です
- 失敗5: 開業前の1回で終わらせる — 開業して相談を受けるようになると、書ける中身が増えます。同じ表をもう一度作ると、そのときは自分の手元の記録を持った状態で見られます
もう一つ、注意点があります。この4つは、これから作るサイトに何を載せるかを決める材料であって、相談が来るサイトの要件ではありません。4つをそろえれば相談が来る、という性質のものではなく、開業予定地で書かれているものを手がかりに、自分が書ける中身を決めるための表です。どこを厚くするかは、扱うと決めた分野と、開業後に自分でどこまで手を動かすつもりかによって変わります。
まとめ — 次のステップ
この記事の要点
- 開業予定地の事務所のサイトは、これから作るサイトに何を載せるかを決める材料になる。物件が決まっていなくても、地域と分野が見えていれば調べられる
- 見る場所は取扱分野・費用・相談の進み方・弁護士本人の4つ。これは初めて依頼する人が確かめようとすることの見立てで、順位は付けない
- 調べる相手は、開業する地域と分野の名前で検索して出てくる、規模の近い3つの事務所。印象の言葉ではなく、書いてあるものの名前で1行ずつ書き取る
- 項目ごとに「3つとも書いている」「分かれている」「どこも書いていない」に分かれる。そろって書かれている項目は開業日に公開する版に入れ、分かれている項目は自分で決める
- どこも書いていない項目はすぐに埋めない。書ける中身が自分の側にあるかを先に確かめる
- 取扱分野は、一覧の名前ではなく分野ごとのページがあるかで分かれる。開業時は主力の分野1つで足りる
- 費用は、金額の水準ではなく初回相談の受け方と総額の見通し。料金を決める段で、載せ方まで一緒に決められる
- 相談の進み方は、フォームを見る時点・電話を受けられる時間・面談の受け方を開業前に決めてから書く
- 弁護士本人は、経歴の項目を増やす方向ではなく、相談の受け方と対応の姿勢を書く
- 4つは載せる項目を決めるための材料であって、相談が来るサイトの要件ではない
次のステップ
載せる項目の一覧ができたら、次はそのサイトをどういう形で作るかを決める段です。「専門サイト vs 事務所サイト」では、複数の分野を並べる事務所サイトと、分野を絞った専門サイトの違いと、どちらから始めてどう足していくかを扱います。
この記事で作った表は、そのまま次の判断材料になります。事務所A・B・Cが1つの分野を前面に出しているのか、複数の分野を並べているのか。分野ごとのページを持っているのはいくつか。取扱分野の欄の書き取りが、開業時にどちらの形から始めるかを考える手がかりになります。作った一覧は、独立3ヶ月前に制作会社と面談する段まで持ち越して使いますので、手元に残しておいてください。