開業直後の弁護士が広告費を相談1件あたりに直す4つの手順
この記事のポイント
広告を出し始めても、その相談が広告から来たのかどうかは管理画面には出てきません。相談1件あたりにいくらかかったかは、広告のために口座から出ていった総額を、自分が電話で経路をうかがって記録した相談の件数で割って出します。開業直後はこの記録が1行もありませんが、裏返せば、最初の月から同じ数え方でそろえて数え始められるのは開業直後だけです。この記事では記録の始め方を先に置き、そのうえで割り算に進みます。開業1か月目のうちに、翌月から1行ずつ埋まっていく表が1枚できます。
目次
- なぜ広告を出した最初の月から、数え方を決めておくのか
- 開業直後だから決められること — 記録は最初の月から作れて、割り算は月が並んでから
- 手順1 相談の電話を取ったその場で、どこで事務所を知ったかをうかがって残す
- 手順2 広告のために出ていくお金の範囲を、最初の1回だけ決める
- 手順3 月が終わったら、その月の広告費を相談の件数で割って1行だけ書く
- 手順4 月が並んでから幅で持つ — 何か月ぶんたまると何が言えるようになるか
- 月ごとの上下は、自分が設定した上限額だけで決まるわけではない
- 開業直後にはまだ引けない線 — 続ける・減らす・止めるをどこで決めるか
- よくある失敗と注意点
- まとめ — 次のステップ
広告を出し始めた。管理画面には表示回数とクリック数が並び、数字は毎日動いている。ただ、それが多いのか少ないのかを決める先が手元にない。相談の電話も何本か鳴った。その電話が広告を見てかかってきたのかどうかは、切ったあとには分からない。続けるか、減らすか、止めるか。考えようとしても、比べるものがない。
ここで材料が足りないのは、判断力の問題ではありません。広告が見合っているかを言うには、広告のために出ていったお金と、自分の事務所に残る相談の記録の2つが要ります。開業直後に無いのは後者だけで、しかもそれは、明日かかってくる電話から作れます。外から相場を取り寄せる必要はありません。
この記事では、まず開業直後に決められることと、月が並ぶまで決められないことを分け、そのうえで記録の始め方から割り算までを4つの手順にします。読み終えると、開業1か月目の時点で、翌月から1行ずつ埋まっていく表を1枚持てる状態になります。広告費の目安、クリック単価の水準、広告を出すと相談が何件増えるかは扱いません。いずれも示せる根拠を持っていないためです。広告の始め方とキーワードの選び方は「リスティング広告」の記事のとおりで、この記事はその続きから始めます。
なぜ広告を出した最初の月から、数え方を決めておくのか
ここでは、この作業を開業直後のどこに置くかが決まります。「リスティング広告」で配信が始まりました。次に決めるのは、その広告が何を運んできたのかをどこで数えるかです。理由は3つあります。
理由1: 相談の記録は、あとからさかのぼって作れない
広告の側の数字は、あとからでも見に行けます。明細も請求書も残り、管理画面にも過去の日付が並びます。残らないのは、相談の側だけです。電話を受けたときに経路を書き留めていなければ、半年前の相談がどこから来たのかを思い出すのは難しいところです。
理由2: 電話を取るのが自分なので、決めればその日から始まる
開業直後は、相談の受付をする人も、集客を見る人もいません。電話を取るのも、フォームの通知を見るのも、面談をするのも自分です。記録に関しては、聞く人と書く場所を誰かに伝える手間がないということでもあります。自分の中で決めれば、次の電話から始まります。
理由3: 途中で数え方を変えると、月を並べたときの上下が読めなくなる
この割り算は、1か月では答えになりません。月を並べたときの上下を広告の側で起きたこととして読むには、数え方が全部の月でそろっている必要があります。途中で範囲や区分を変えると、上下が数え方の変化なのか広告の側の変化なのか分からなくなります。1か月目からそろえられるのは、開業直後だけです。
開業日から起算した進み方
時期の目安は次のとおりです。前後してかまいませんが、順番は入れ替えないでください。
| 時期 | やること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 開業日(配信を始めた日) | 経路をうかがう一言と、書き留める欄を決める(手順1) | 電話を取ったその場で書ける状態になっている |
| 開業1週目 | 広告のために出ていくお金の範囲を決めて書き留める(手順2) | どの支払いを数に入れるかが決まっている |
| 開業1か月目の終わり | 1か月目の行を埋める(手順3) | 割り算が1行できている。数字は一点のまま置く |
| 開業2〜3か月目 | 行を足していき、合計の行を出す(手順4) | 幅の言い方ができるようになっている |
| 開業3か月目 | ツールの側の数え方をそろえる(「効果測定の始め方」) | 事務所の記録と突き合わせられる |
| 記録が並んでから | 続ける・減らす・止めるの線を当てる | 線は数字が出る前に決めてある |
この記事が担うのは、上の表の1行目から4行目までです。5行目のツールの設定は次の記事で、6行目の線は、決めておくところまでを後ろの節で扱います。
開業直後だから決められること — 記録は最初の月から作れて、割り算は月が並んでから
ここが、この記事でいちばん効く節です。広告が見合っているかを言うために使う数字は、一つです。その月に広告のために口座から出ていった総額を、その月に受けた相談のうち、経路が「インターネットで検索して」だった件数で割った、相談1件あたりの広告費です。
| 割り算の場所 | 何を入れるか | どこにあるか | 開業直後に手元にあるか |
|---|---|---|---|
| 分子 | その月に広告のために出ていった総額 | 事務所の口座やカードの明細、請求書 | ある。最初の月から残る |
| 分母 | その月に受けた新規の相談のうち、経路が「インターネットで検索して」の件数 | 自分が電話でうかがって残す記録 | まだ無い。これから作る |
| 出てくる数字 | 相談1件あたりの広告費 | 分子を分母で割る | 分母がそろった月から |
だから、記録の始め方を先に置く
分子は、何もしなくても残ります。銀行の明細にも請求書にも、広告のために出ていったお金は記録されています。放っておくと残らないのは、分母だけです。ここが決まらないかぎり、管理画面の数字を眺めても割り算にはなりません。
開業直後に足りないのは、判断の材料ではなく記録です。そして記録は、決めれば明日から始まります。この順序で進めるのは、開業直後だからです。過ぎた月の分母は作れませんが、まだ1行も書いていない側には、1か月目から同じ形でそろえるという進み方が残っています。
分母を受任の件数ではなく相談の件数にする理由
分母に置くのは、受任した件数ではなく相談の件数です。相談は、広告を見た方が事務所に接触したその月に起きます。受任はそこから何週間か空くことがあり、前の月の広告費と今月の受任が同じ行に並んでしまいます。
受任の記録も残しますが、分母としてではなく、表に足す別の列としてです。使いどころは、後ろの「開業直後にはまだ引けない線」の節で扱います。
表示回数とクリック数を分母にしない理由
管理画面に並ぶ表示回数やクリック数は、事務所の記録には現れない数字です。増えたか減ったかは読めますが、その増減が相談につながったかどうかは、事務所の側で数えていないかぎり分かりません。とくに電話でかかってきた相談は、広告の管理画面の側からは見えません。
「リスティング広告」で触れたコンバージョン計測は、ツールの側から数える方法で、設定の手順は「効果測定の始め方」で扱います。この記事で作るのは、ツールからは見えない側の記録です。順番としては、ツールが無くても始められるこちらが先です。
4つの手順
| 手順 | やること | 終わりの目印 |
|---|---|---|
| 手順1 | 相談の電話を取ったその場で、どこで事務所を知ったかをうかがって残す | 経路の区分と、書き留める場所が決まっている |
| 手順2 | 広告のために出ていくお金の範囲を、最初の1回だけ決める | どの支払いを数に入れるかが書き留めてある |
| 手順3 | 月が終わったら、その月の広告費を相談の件数で割って1行だけ書く | 1か月目の行が埋まっている |
| 手順4 | 月が並んでから幅で持つ | 並んだ月数に応じて、言えることと言えないことが分かれている |
次の節は手順1です。分子は待っていても残るので、先に手を付けるのは放っておくと消えるほうです。
手順1 相談の電話を取ったその場で、どこで事務所を知ったかをうかがって残す
ここで、分母の1行目ができます。やることは、聞く一言と書き留める場所を決めることの2つです。
聞き方は一つで足りる
電話でも来所でも、最初のやりとりの中で「どこで当事務所をお知りになりましたか」と一言うかがいます。相談の内容に入る前のほうが、自然に聞けます。
書き留める場所は、表計算のファイルでも机の上のノートでもかまいません。電話を切る前に書ける場所であることのほうが、形よりも効きます。切ったあとに書こうとすると、次の用事が入った日に飛びます。
開業直後は、決めればその日から始められる
事務職員がいる事務所であれば、聞く人と書く場所を決めて伝える必要があります。開業直後に電話を取るのは自分なので、伝える相手がいません。「ホームページのあいさつ文」で決めた、電話が通じる時間帯と折り返しの目安と同じところに、この欄を並べて置けます。留守番電話やメールから折り返した先で相談に進んだ場合も、同じ一言をうかがって、その日付で1件として残します。
記録する区分は4つ
区分は、紹介、インターネットで検索して、ポータルサイト、それ以外・分からないの4つです。これ以上細かくしないのは、受けたその場で迷う区分を作ると、記録そのものが続かなくなるからです。この分け方は、ウェブ集客を支援する側から置いたものです。
広告の枠から来たのか、検索結果の一覧から来たのかは分けない
ここは、承知したうえで進める点です。相談される方に、広告の枠から来たのか、その下の検索結果の一覧から来たのかまで区別して答えていただくのは、難しいところです。ですから、区別の付かない分は「インターネットで検索して」の行にまとめて置きます。
この行には、広告を見ずに来られた方が混ざります。つまり、この数え方で出るのは広告だけに対応した数字ではなく、検索から来た相談全体に対する広告費です。混ざったまま同じ数え方を続けたほうが、途中で変えるより、並べたときの動きが読めます。
数え方の線引きも、先に決めておく
- 新規の相談だけを数えます。 すでに依頼を受けている方からの追加の相談は分けて、印を付けておきます
- 同じ方が二度電話をされたら1件です。 折り返しも含めて、1つの相談は1件として数えます
- 場所の確認や営業の電話は数えません。 相談に至らない問い合わせは表の外に置きます
- 「それ以外・分からない」の行は、空欄にせず数字を入れます。 聞きそびれた件数も、答えていただけなかった件数も、この行に残します
最後の1つが、いちばん飛ばされやすい行です。この行の件数が多い月は、その月の割り算の結果を弱く扱うことになります。空欄にすると、その判断ができません。
フォームからの問い合わせも同じ区分に入れる
「お問い合わせ導線の設計」と「問い合わせ手段の最適化」で作ったフォームには、どこで事務所を知ったかを選ぶ欄を1つ足しておくと、電話と同じ区分で残せます。必ず入力する形にはせず、選ばれないまま届いた分は「それ以外・分からない」に入れます。
分母の表
| 月 | 相談の件数(合計) | 紹介 | インターネットで検索して | ポータルサイト | それ以外・分からない |
|---|---|---|---|---|---|
| 開業1か月目 | |||||
| 2か月目 | |||||
| 3か月目 | |||||
| 4か月目 | |||||
| 5か月目 | |||||
| 6か月目 |
この表は、書き始めた月からしか作れません。開業日から始めれば、1行目が開業1か月目の行になります。
手順1で決めて、書き留めておくこと
- 相談を受けたときにうかがう一言を決めたか
- 電話を切る前に書ける場所を決めたか
- 経路の4つの区分を書き出したか
- 新規の相談と、依頼を受けている方からの追加の相談の分け方を決めたか
- 相談に至らない問い合わせは数えない、と決めたか
- フォームに、どこで事務所を知ったかを選ぶ欄を足したか
- 「それ以外・分からない」の行を空欄にしない、と決めたか
手順2 広告のために出ていくお金の範囲を、最初の1回だけ決める
ここでは、分子の範囲が決まります。決めるのは最初の1回だけで、あとは同じ範囲で数えます。範囲の正しさより、月ごとにそろっていることのほうが効きます。
広告のために出ていくお金は、一本ではない
媒体に払う広告費のほかに、次のようなものが出ていくことがあります。
- 運用を誰かに任せている場合の手数料
- 広告の行き先になるページを作ったときに出た費用
- 電話やフォームからの問い合わせを数えるために、毎月かかっている道具の費用
これらを含めるか、分けて記録するか。どちらが正しいということはありません。手数料まで含めれば事務所から出ていく額に近くなり、媒体に払う分だけで見れば配信そのものの動きが見えやすくなります。困るのは、月によって範囲が変わることです。
開業の月だけは、一度きりのお金が重なる
ページを作ったときの費用のように、一度だけ出ていくお金は、出た月にまとめて入れるか、何か月かに割って入れるかを決めます。開業の前後は、この種の支払いが重なる時期です。
まとめて入れれば、その月だけ相談1件あたりの数字が跳ね上がります。割って入れるなら、何か月で割るかを自分で決めます。どちらでもかまいませんが、どちらにしたかを書き留めておいてください。跳ねた月の行を、あとで広告の側に起きたことだと読み違えないためです。
「ホームページの費用を1年あたりに直す」で作った表との関係
開業前に、見積もりを1年あたりの費用にそろえる表を作りました。あちらは見積もりを並べるために年の単位にそろえた表で、こちらは月ごとに割り算をする表です。単位が違うので、同じ費用が両方に出てきてかまいません。
そろえるのは範囲の決め方のほうです。行き先のページを作った費用をどちらの表でどう扱ったかは、同じ場所に書き留めておきます。
分子の範囲を決めるために、最初の1回だけ確かめて書き留めること
- 媒体に払っている広告費が、どの明細のどの行に出ているかを確かめたか
- 運用の手数料を払っているか。払っているなら、広告費に含めるか別の行に分けるかを決めたか
- 広告の行き先のページを作ったときの費用を、出た月にまとめて入れるか、何か月かに割って入れるかを決めたか
- 問い合わせを数えるために毎月かかる道具の費用があるか。あるなら含めるかどうかを決めたか
- 税込みで数えるか、税抜きで数えるかを決めたか
- 月の区切りを、請求書の日付にするか、実際に配信された月にするかを決めたか
- 決めた範囲を、半年後にも見返せる場所に書き留めたか
手順3 月が終わったら、その月の広告費を相談の件数で割って1行だけ書く
ここで1か月目の行が埋まります。明細から1つ、記録から1つ書き写して割るだけで、月末に一度だけ開く表です。
| 月 | 広告費(口座から出た総額) | 相談の件数(インターネットで検索して) | 相談1件あたりの広告費 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 開業1か月目 | ||||
| 2か月目 | ||||
| 3か月目 | ||||
| 4か月目 | ||||
| 5か月目 | ||||
| 6か月目 | ||||
| 3か月分の合計 | ||||
| 6か月分の合計 |
相談が0件だった月の扱いを、先に決めておく
開業したばかりの月は、この行が0件になることがあります。割り算ができないので、その月は「相談1件あたり」の欄を空けたまま、広告費の額と件数0をそのまま残します。0件の月を無かったことにすると、あとで並べたときの幅が実際より狭く見えます。
0件の月は、合計の行で拾います。広告費の合計にはその月の額が入り、件数の合計には0が足されるだけです。
合計の行の出し方
合計の行は、3か月分の広告費の合計を、3か月分の相談の件数の合計で割って出します。月ごとに出した数字を足して3で割るのではありません。件数の少ない月が過大に効いてしまうためです。
備考の欄に残すこと
備考は、あとで上下の理由を手繰るための欄です。次のことを書き留めておきます。
- 配信を止めていた日が何日ぶんあったか
- 広告の設定を触った日と、その中身
- 「それ以外・分からない」の行に件数が偏った月かどうか
- 長い休みや、出張の続いた時期が入っていないか
- 広告の行き先のページを直したかどうか
この欄は、後ろの「開業直後にはまだ引けない線」の節で、判定に使わない月を決めるときにそのまま使えます。
手順4 月が並んでから幅で持つ — 何か月ぶんたまると何が言えるようになるか
ここでは、出てきた数字の持ち方が決まります。並んだ月数で、言えることと言えないことが分かれます。
たまった月数と、その時点で言えること
| 並んだ月数 | その時点で言えること | まだ言えないこと |
|---|---|---|
| 1か月目まで | 分子と分母がそろい、割り算が成立したこと。記録の仕組みが動いているかを確かめられる | その数字がこの先も続くのか。件数の少ない月ほど、1件の増減で結果が大きく動く |
| 2〜3か月目 | 月ごとの上下が見え始める。3か月分の合計の行が出せて、幅の言い方ができる | 上下が広告の側で起きたことなのか、相談の入り方の揺れなのか |
| 4〜6か月目 | 幅がどのくらいの広さに収まるかが見えてくる。開業直後に厚かった経路が落ち着いたかも、経路の列で分かれて見える | 続ける・減らす・止めるの線そのもの。次の節で扱う |
この分け方は、ウェブ集客を支援する側から置いたものです。何か月で幅が定まるかを調べた数字があるわけではありません。相談の件数が多い時期ほど早く見えてきます。
一点でなく幅で持つ
1か月に受ける新規の相談の件数がもともと多くない時期は、1件の増減が割り算の結果を大きく動かします。相談が2件だった月と4件だった月では、同じ広告費でも1件あたりは2倍違います。
ですから、出てきた数字はいちばん低かった月といちばん高かった月を両端に置いて、そのあいだで見ます。一点の数字を出して、それを自分の広告の値として扱わないでください。
開業直後の数か月に固有の揺れ
開業のあいさつや、以前からの付き合いの方からの相談で、最初の数か月は紹介の行が厚くなることがあります。これは支援の場で見てきた範囲での見立てで、そうなると決まってはいません。
ここで効くのが、手順1で経路を分けて記録していることです。紹介の相談は分母に入らないので、その分で割り算のほうが揺れることはありません。相談の総数で割ると、紹介が多い月ほど広告が良く見えることになります。
月ごとの上下は、自分が設定した上限額だけで決まるわけではない
幅で持てるようになると、月ごとの上下が何で動いたのかを知りたくなります。手がかりの一つが、管理画面に出ているクリック単価という数字の決まり方です。Google 広告のヘルプは、実際に請求される額について次のように説明しています。統計の調査ではなく、提供している事業者自身の説明です。ヘルプの記載は改訂されることがあるため、閲覧時点の文言をそのまま引きます。
ほとんどの場合、実際のクリック単価は上限クリック単価を下回ります。というのも、Google広告のオークションでは、広告ランクの下限値を満たし、かつ掲載順位が1つ下の競合相手の広告ランクを上回るために最低限必要な金額のみが請求されるからです。
請求される額が、掲載順位が1つ下の競合相手との関係で決まる、という説明です。この文言が言っているのはそこまでで、弁護士の広告でクリック単価がどの水準になるかも、広告を出してから相談がどうなるかも、ここには書かれていません。
読み取れるのは、その相手が自分の外にいる、ということです。自分の設定を何も触っていない月でも、支払いの側が前の月と同じになるとは限りません。月を並べて幅で持つのは、このためです。
設定した上限額を上回る場合として挙げられているもの
同じヘルプに、次の説明もあります。
設定した上限クリック単価を実際のクリック単価が上回るケースもあります(拡張CPCを有効にしている場合や、入札単価調整を設定している場合など)。
上限として設定した額を、実際の単価が上回ることがある、という説明です。その場合として、拡張クリック単価(拡張CPC)を有効にしているときや、入札単価調整を設定しているときが挙げられています。挙げられているのは例で、文言は「など」で切れています。ですから、これらを設定していなければ上回らない、という裏返しはここからは言えません。
自分のアカウントで確かめること
単価が動いたときに、どこを見に行くかを決めておくために
- 上限クリック単価をいくらに設定したかを、設定の画面で確かめて書き写したか
- 拡張クリック単価を有効にしているかどうかを確かめたか
- 入札単価調整を設定しているかどうかを確かめたか
- これらの設定を最後に変えたのはいつで、変えたのは自分か、任せている先かを書き留めたか
- 確かめた日付を書き留めたか。ヘルプの記載も設定の画面も、時期によって変わります
単価が上がったこと自体は、良いとも悪いとも決まりません。判断に使うのは、手順3で出した相談1件あたりの広告費のほうです。単価は、その数字が動いたときにどこを見に行けばよいかの手がかりとして使います。
開業直後にはまだ引けない線 — 続ける・減らす・止めるをどこで決めるか
ここでは、開業直後には引けない線を、なぜ引けないのかとあわせて置いておきます。後で引けるようにするためです。
なぜいま引けないのか
幅が手元に出ても、その数字が自分の事務所にとって高いのか低いのかを決める線がなければ、判断は動きません。線は、外から取り寄せた相場や他の事務所の数字ではなく、自分の事務所の記録から引きます。扱う分野も相談の入り方も事務所によって違うためです。そして開業直後には、その記録がありません。「ホームページの費用を1年あたりに直す」で、入ってくる側の計算を開業後に回したのと同じ理由です。借りてきた数字で埋めれば表は動きますが、動いたのは前提の置き方だけです。
いま決められること
線の高さは決められませんが、線の当て方は開業直後に決められます。
| 決めること | 決めるときの手がかり | 決めないままにするとどうなるか |
|---|---|---|
| 判定に使う期間 | 3か月分の合計で見るか、6か月分の合計で見るか。件数が少ないほど長めに取ることになる | 数字を見てから期間を選ぶことになり、都合のよい期間が選べてしまう |
| 判定に使わない月の条件 | 配信が止まっていた月、長い休みが入った月、「それ以外・分からない」に偏った月。手順3の備考の欄から拾う | 条件のそろわない月が、そろった月と同じ重さで並ぶ |
| 線を下回ったとき・上回ったときにすること | 金額を減らして続ける、行き先のページを直してもう一度数え直す、止める、のどれにするか | 「もう少し様子を見る」で毎月が過ぎる |
| 線を見直す時期 | 扱う分野を増やしたとき、広告の行き先のページを作り直したとき | 前と条件の違う数字を、同じ線に当てることになる |
| 止めると決めた場合に、記録をどこまで続けるか | 止めたあとに、紹介やポータルサイトの行がどう動くか | 次に始めるかどうかを決めるときの材料が残らない |
線は、数字が出る前に決めておく
数字を見てから線を引くと、出た数字に合わせて線のほうが動きます。まだ1行も埋まっていないいまは、線の当て方を決めるのにいちばん向いた時期です。
記録の表に、受任に至ったかどうかの列を足しておく
手順1で作った記録に、受任に至ったかどうかの列を1つ足しておきます。列を足すのは開業直後にできて、埋まるのは後です。月が並んだときに、開業前に残しておいた計算を、この列からそのまま足せます。ここでも、既存の依頼者からの追加の依頼は分けて印を付けます。追加の依頼は、広告を見て来られた方からのものではありません。
よくある失敗と注意点
数え始める段でつまずきやすいところを、5つ挙げます。
- 失敗1: 経路をうかがわないまま月が過ぎる — 分子は明細に残りますが、分母は残りません。始める日を決めずにいると、そのまま次の月になります
- 失敗2: 管理画面の数字だけを見て判断する — 表示回数やクリック数の増減が相談につながったかどうかは、事務所の側で数えていないかぎり分かりません
- 失敗3: 分子の範囲を月によって変える — 手数料を入れた月と入れない月が混ざると、並べたときの上下が広告の側の変化なのか数え方の変化なのか分からなくなります
- 失敗4: 1か月目の数字を自分の広告の値として扱う — 件数が少ない時期ほど1件の増減で結果が動きます。月が並ぶまでは、幅にする材料がありません
- 失敗5: 「それ以外・分からない」の行と、相談が0件だった月を空欄にする — どちらも、その月の結果をどれだけ強く扱えるかを決める情報です。消すと、その判断ができません
もう一つ、注意点があります。この4つの手順で出るのは「相談1件あたりにいくらかかったか」までであって、「広告を出すと相談が何件増えるか」ではありません。出るのは、自分が払った額と、自分で記録した件数から作った1枚の表です。
まとめ — 次のステップ
この記事の要点
- 使う数字は、その月に広告のために口座から出ていった総額を、経路をうかがって記録した「インターネットで検索して」の相談の件数で割った、相談1件あたりの広告費
- 分子は何もしなくても明細に残る。放っておくと残らないのは分母だけなので、記録の始め方を先に置く
- 開業直後は記録が1行もないが、裏返せば1か月目から同じ数え方でそろえられるのは開業直後だけ
- 手順1は相談の電話を取ったその場でうかがって残す。区分は4つ。電話を取るのが自分なので、決めればその日から始まる
- 手順2は出ていくお金の範囲を最初の1回だけ決める。開業の前後は一度きりの支払いが重なるので、まとめて入れるか割って入れるかを書き留めておく
- 手順3は月末に1行だけ書く。相談0件の月は行を消さず、合計の行は合計を合計で割って出す
- 手順4は月が並んでから幅で持つ。1か月目で言えるのは記録の仕組みが動いていることまでで、2〜3か月で幅の言い方ができる
- 月ごとの上下は自分の設定だけで決まらない。ヘルプは、実際のクリック単価が上限クリック単価を下回ることが多い理由と、拡張クリック単価や入札単価調整を設定している場合などには上回るケースもあることを説明している
- 続ける・減らす・止めるの線の高さはまだ引けないが、判定に使う期間・使わない月の条件・下回ったときにすることは、数字が出る前のいま決められる
- 出るのは相談1件あたりにいくらかかったかまでで、広告を出すと相談が何件増えるかではない
次のステップ
事務所の側の記録が動き出したら、次はツールの側から数える段です。「効果測定の始め方」では、サイトに来た方の数と、フォームからの問い合わせを数える仕組みを扱います。
この記事で作った表は、そのまま次の段で使えます。ツールの側から出る数と、電話でうかがって残した記録は、別々に数えたものなので突き合わせられます。ずれていれば、どちらかが取りこぼしています。手順3の備考の欄は、月ごとの動きの理由を手繰るときに使います。表は開業から何か月も持ち越して使いますので、手元に残しておいてください。