開業直後の弁護士がホームページ・ブログ・地図・SNSの着手順を決める3つの手順

この記事のポイント

開業して事務所が動き出すと、ホームページ、ブログ、Googleマップ、SNSがまとめて宿題になります。どれが最も効くかは、こちらからは言えません。ただ、どれから着手できるかなら、手元の材料だけで並べられます。使うのは、いまの事務所サイトの状態、Googleビジネスプロフィールが登録されているかどうか、来月から集客に出せる時間の3つです。行き先を1位に、一度で終わる作業を次に、続く作業は時間に入る数だけ残す。この順で並べ替えれば、今日のうちに最初の1つが決まります。

開業して、事務所が動き出しました。サイトは公開しましたが、直したいところが残っています。ブログを書いたほうがいいと言われます。Googleマップに事務所を出したほうがいいとも言われます。同期はSNSを始めています。どれもやったほうがよいことは分かりますが、4つを同時に始める時間はありません。

どれから手を付けるかを調べると、記事によって挙がる順番が違います。決められないまま日が過ぎ、宿題だけが増えていきます。

どれが最も効くかを外から言うことはできませんが、どれから着手できるかなら、手元の材料だけで並べられます。使うのは、いまの事務所サイトの状態と、Googleビジネスプロフィールが登録されているかどうかと、来月から集客の作業に出せる時間の3つです。どれも今日のうちに書き出せます。

この記事は、並べ方を先に置き、そのあと手順の順に、4つを同じ表に並べる・上から順に並べ替える・1位だけに着手して終わりの目印を置く、を示します。ホームページの中のどこをどう直すかには入りません。ここで決めるのは、4つの施策のうちどれから手を付けるかです。

なぜ立ち上げの段で、着手順を決め直すのか

準備期に、「集客の施策を1つに絞る4つの条件」で、開業日から持つ1つを決めました。この記事は、その続きです。理由は3つあります。

理由1: 開業して、条件が動いた

準備期に置いた条件3の「毎週使える時間の形」は見込みでした。開業して1か月が経てば、実際に取れた時間が分かります。条件が動けば、当て直せます。

理由2: 開業して初めて手が届く候補がある

所在地と電話番号が確定して初めて、地図の登録ができます。事務所の写真も撮れます。準備期に「今回は外す」と判定した候補のうち、いくつかは条件4が「ある」に変わっています。

理由3: 2つ目を足すかどうかは、順序を決めてから

1つ目が動いているなら、2つ目を足せる余地があるかもしれません。ただし、足す順を決めずに手を付けると、どれにも中途半端に触れたまま止まります。この記事は、その順の決め方です。

準備期の記事との違い

準備期「施策を1つに絞る4つの条件」 立ち上げ期(この記事)
決めること 開業日から持つ1つ 持てるようになった候補の着手順
使う材料 範囲・分野・使える時間の形・手元にあるもの 行き先・作業の終わり方・使える時間
時間の欄 見込みで置く 先月の実績で置く

効きそうな順では並ばない — 行き先・作業の終わり方・使える時間で並べる

はじめに書いておきます。こちらから「この施策がいちばん効きます」とは書きません。4つの施策それぞれで相談が何件増えるかを比べた数字を、こちらは持っていないからです。持っていない数字で順位を付ければ、根拠のない順番を渡すことになります。費用の側から順位を決める方法も、この記事では扱いません。

代わりに、効果の大きさではなく、着手できるかどうかで並べます。見るのは次の3つです。

見るもの 何を確かめるか 順位への効き方
行き先 その施策から人が移動する先が、用意できているか 行き先になるものが先
作業の終わり方 一度やれば終わる作業か、毎月続く作業か 一度で終わるものが先
使える時間 続く作業に、来月から毎月何時間出せるか 時間に入らない分は今回やらない

行き先

Googleビジネスプロフィールには、ウェブサイトのURLを登録する欄があります。SNSのプロフィールにも、リンクを置く欄があります。ブログは、事務所サイトの中に置く場合と、外部のサービスに置いて事務所サイトへつなぐ場合に分かれます。4つのうち3つは、行き先として事務所サイトを指す作りになっている、ということです。

行き先が用意できていないうちに地図やSNSの側だけを整えると、移動してきた人が着く場所がありません。ですから、事務所サイトが行き先として成立しているかどうかを、いちばん先に見ます。

作業の終わり方

4つの中身は、性質が2つに分かれます。一度やれば終わる作業と、毎月続く作業です。一度で終わる作業を先に片付けるのは、終わりを自分で決められるからです。終わりの来ない作業を先に始めると、一度で終わるはずの作業のほうが、いつまでも宿題に残ることになります。

使える時間

続く作業は、時間がなくなれば止まります。止まった施策は、着手していない施策と同じ状態に戻ります。ですから続く作業は、やると決める前に、来月から毎月何時間出せるかを先に決め、その時間に入る数だけ残します。入らないものは、順位を付けずに「今回はやらない」に移します。「後で」に置いたものが、宿題になります。

手順は3つ

手順 やること 出るもの
1 4つを同じ表に並べ、いまの状態・一度で終わる作業・毎月続く作業・要る時間を書く 4行の表
2 行き先・一度で終わる作業・続く作業の順に並べ替える 順位と、今回はやらないもの
3 1位だけに着手し、終わったと言える条件を先に書く 着手した日と、2位に進む合図

行き先として成立しているかを見る4つの欄

「事務所サイトが行き先として成立しているか」を、印象で決めないでください。見やすい、古く見える、垢抜けない。こうした言葉は、見る人によって答えが変わり、直す相手にもそのまま渡せません。判定に使えるのは、二人が見ても同じ答えになるもの、つまり書いてあるか、書いていないかです。

見る先は4つに絞ります。地図やSNSから移動してきた人が、依頼先を決める前に答えを探すことです。

「有る」と言える状態 「不十分」になりやすい書き方
取扱分野 相談者が自分の困りごとを呼ぶ言葉で分野が書かれ、分野ごとに説明のページがある 事件類型の名前が並ぶだけ。「幅広く対応」だけ。名前はあるが押した先にページがない
担当する弁護士 相談を受ける弁護士の氏名が書いてあり、その人が扱う分野が読み取れる 事務所名だけ。氏名と経歴はあるが、扱う分野が書かれていない
費用 相談の費用がどうなるかと、依頼した場合に何にお金がかかるかが文字で書いてある 「事案により異なりますのでお問い合わせください」で終わっている。相談の費用だけがあり、依頼した後に触れていない
問い合わせ 読んでいるページから連絡先に届き、連絡手段が複数あり、送った後に何が起きるかが書いてある 連絡先がトップとフッターにしかない。届いた先が窓口だけで、何を書けばよいか分からない

判定は3つに分ける

有る(その答えがどこかに文字で書いてあり、そのページに辿り着ける)、無い(どのページにも書いていない、または書いてあるページに辿り着けない)、不十分(書いてはあるが、書かれている言葉が事務所の側の言葉のままで、読んだ人が自分の場合に引き当てられない)。

「不十分」を置くのは、有るか無いかの二択だと、書いてありさえすれば通ってしまうからです。分野の名前が並んでいる、費用のページがある、問い合わせ先がある。それだけで「有る」にしてしまうと、点検の意味がなくなります。迷った欄は「不十分」に寄せてください。「有る」に入れると、その欄は次の点検で開かれません。

点検の始め方

自分の端末で、トップから開いてください。管理画面から開くのではなく、検索して入り直します。読むときは、事務所名を知らない人がトップに来たと置いてください。自分のサイトは、書いた内容を自分が覚えているぶん、書いていないことに気づきにくくなります。

4つのうち「無い」と「不十分」が付いた欄が、手順2で1位に置く作業の中身になります。4つとも「有る」であれば、事務所サイトは行き先として成立しているので、1位は一度で終わる作業に移ります。

この4つを選んだ理由を、数字では説明しません。相談者の何割がどこを見ているかという数字を、こちらは持っていないからです。ウェブ集客を支援する側として、問い合わせが届くまでに相談者が答えを必要とすることを整理したものです。数字の裏づけとしてではなく、判定の対象を絞るための枠として使ってください。

手順1 4つを同じ表に並べる

用意するもの

  • 事務所サイトのURL(無い場合は「無い」と書きます)
  • Googleビジネスプロフィールが登録済みかどうか。登録済みなら、誰が管理しているかが分かる状態
  • 先月、集客の作業に実際に使えた時間。自分の分と事務員の分を分けて
  • 相談の記録。何を見て来られたかを聞いているなら、その記録も

3つ目が、準備期との違いです。開業して1か月が経っていれば、見込みではなく実績で書けます。

施策 いまの状態 一度で終わる作業 毎月続く作業 月に要る時間
ホームページ
ブログ
Googleマップ
SNS

行ごとの書き方

ホームページ。 「いまの状態」は、有る・無い・有るが取扱分野や費用の説明が載っていない、のように一言で書きます。どこをどう直すかまでは、ここでは決めません。この表で見たいのは、他の3つの行き先として成立しているかどうかだけです。

ブログ。 毎月続く作業です。「月に要る時間」は、推定ではなく、1本書いて実際に測った時間を入れてください。「記事に回せる分量を実測で見積もる3つの手順」で1本を通して計ってあれば、その合計をそのまま使えます。測っていない時間で線を引くと、線そのものが当てになりません。

Googleマップ。 Googleビジネスプロフィールの登録とオーナー確認は、一度やれば終わる作業です。載せた情報を新しくしていく作業は、毎月続く作業です。同じ行の中で、この2つを分けて書いてください。分けずに1つの塊にすると、今日終えられるはずの作業が、終わりの来ない作業と同じ重さに見えて後回しになります。

SNS。 毎月続く作業です。「いまの状態」の欄には、アカウントの有無だけでなく、誰に向けて出すつもりかを一言書いてください。相談を考えている人に向けるのか、同業や他士業に向けるのかで、書く内容も要る時間も変わります。決まっていないなら、決まっていないと書きます。

4行が埋まったら、「一度で終わる作業」の欄と「毎月続く作業」の欄を見比べてください。この2つが分かれていることが、次の手順の材料になります。

手順2 上から順に並べ替える

並べ替えは3段です。

一段目 他の施策の行き先になるものを先頭に置く

事務所サイトです。ただし、無い場合と、有るが説明が足りない場合とでは作業の量が違います。有るなら、行き先として成立させるための作業だけを1位に置き、作り直すかどうかの判断は今回の順位表から外してください。判断が要るものを順位表に混ぜると、すぐ着手できる作業まで一緒に止まります。

二段目 一度で終わる作業を次に置く

表の「一度で終わる作業」の欄に書いたものです。終わりを自分で決められるので、着手した日と終えた日が記録に残ります。この記録が、次に順位を見直すときの材料になります。

三段目 毎月続く作業は、月に出せる時間に入る数だけ残す

手順1で書いた「月に要る時間」を上から足していき、来月から出せる時間を超えたところで線を引きます。線から下は、順位を付けずに「今回はやらない」に移します。ここで、出せる時間の側を大きく見積もり直して線を下げないでください。線が下がっても、出せる時間が増えたわけではありません。

順位 施策 この順位にした理由
1
2
今回はやらない

手順3 1位だけに着手する — 終わったと言える条件を先に書く

着手するのは1位だけです。続く作業が2つ残っていても、同時には始めません。終わったと言える条件が2つ同時に走ると、次に進む合図がどちらからも出なくなるからです。

着手する前に、その終わったと言える条件を1行で書いてください。条件を書かないまま始めた作業は、どこで終わったのかが分からず、いつまでも1位のままになります。

施策 終わったと言える条件の書き方
ホームページ 相談を考えている人が判断に使う項目が載って公開されている状態を、載せる項目の名前で書く
Googleマップ オーナー確認が済み、所在地・電話番号・対応できる時間・サイトへのリンクが載っている
ブログ 自分で決めた本数を、自分で決めた期間のあいだ実際に出せた
SNS 誰に向けて何を出すかを決め、決めた本数を実際に出せた

本数も期間も、こちらからは示しません。事務所ごとに出せる時間が違い、示せる根拠を持っていないからです。手順1で測った1本あたりの時間と、手順2で引いた線から、自分で決めてください。

着手した日と、終えた日を書く

着手したら、順位表に着手した日を書きます。条件が埋まったら終えた日を書いて、2位に進みます。埋まらないうちは2位に進みません。2つ抱えた時点で、1位も2位も止まる側に回ります。

条件が埋まらないまま月が終わった場合

施策を替えるのではなく、条件のほうを見直してください。作業の量が、出せる時間に入っていなかったということです。同じ施策のまま、条件を小さくして続けるほうが、記録は残ります。

あわせて記録し始めること

相談を受けたときに、何を見て来られたかを一言うかがって記録に残してください。検索、地図、紹介、ポータルサイト、SNS、その他。この記録が溜まると、次に順位を見直すときには、着手できる順ではなく、自分の事務所に実際に届いている経路から決められるようになります。

同じ段に2つ並んで決められないとき

同じ段に2つ並んで決められないときは、来週すぐに手を付けられるほうを上にしてください。どちらが効くかは着手して記録が溜まってから分かることで、いま机の上で比べても材料は増えません。

もう1つ手がかりがあります。期日が重なった週にも止まらないほうです。開業直後は、1件の受任で予定が大きく動きます。止まっても残るものがある施策を先に置くと、止まった週の後に再開しやすくなります。

迷ったときの手がかり どちらを上にするか
来週すぐ手を付けられるか 付けられるほう
期日が重なった週に止まるか 止まっても残るものがあるほう
終わったと言える条件を1行で書けるか 書けるほう

よくある失敗と注意点

  • 失敗1: 効きそうな順で並べる — 効果を比べた数字は手元にありません。並べられるのは着手できるかどうかです
  • 失敗2: 行き先が無いまま地図やSNSを整える — 移動してきた人が着く場所がありません。事務所サイトが行き先として成立しているかを先に見ます
  • 失敗3: 地図の行を1つの塊にする — 登録とオーナー確認は今日終えられます。情報を新しくする作業と分けないと、終えられるほうまで後回しになります
  • 失敗4: 出せる時間を大きく見積もり直して線を下げる — 線が下がっても、出せる時間は増えていません
  • 失敗5: 終わったと言える条件を書かずに着手する — どこで終わったのかが分からず、いつまでも1位のままになります

もう一つ、注意点があります。この3つの手順で決まるのは着手の順であって、どれが多く相談を連れてくるかではありません。後者は、経路の記録が溜まってから、自分の事務所の数字で分かることです。

まとめ — 次のステップ

この記事の要点

  • 4つは効果の大きさでは並ばない。並べられるのは、行き先になっているか・一度で終わる作業か毎月続く作業か・続く作業が出せる時間に入るか、の3つ
  • 3つの材料は今日のうちに書き出せる。事務所サイトの状態、Googleビジネスプロフィールの登録の有無、先月の実績
  • 4つのうち3つは事務所サイトを行き先に指す。だから事務所サイトを先に見る
  • ブログの「月に要る時間」は1本書いて実際に測った時間を入れる。推定で入れると線が当てにならない
  • 地図は登録・オーナー確認(一度で終わる)情報を新しくする作業(毎月続く)を同じ行の中で分けて書く
  • 並べ替えは3段。行き先を1位に、一度で終わる作業を次に、続く作業は時間に入る数だけ。入らないものは「今回はやらない」に移す
  • 着手するのは1位だけ。終わったと言える条件を先に1行で書き、埋まってから2位に進む
  • 条件が埋まらないまま月が終わったら、施策を替えるのではなく条件を小さくする
  • 迷ったときは来週すぐ手を付けられるほう期日が重なった週にも止まらないほうを上にする
  • あわせて経路の記録を始める。溜まれば、次は着手できる順ではなく届いている経路から決められる

次のステップ

順位が決まったら、その1位の中身に進みます。Googleマップが1位になった方は「MEO・Googleビジネスプロフィール」へ、広告を候補に入れる段になったら「リスティング広告の初期活用」へ進んでください。どちらも、この記事で書いた「終わったと言える条件」をそのまま持ち込めます。

この順位表は、条件が動いたときに当て直します。先月の実績で時間の欄を書き直し、終えた作業に日付を入れれば、2位以降の並びはその場で決まります。そして、相談の経路の記録を続けてください。何か月か溜まれば、次の見直しでは、着手できる順ではなく届いている経路から順位を決められるようになります。

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