独立準備中の弁護士が集客の施策を1つに絞る4つの条件

この記事のポイント

ホームページ、記事、Googleマップ、ポータルサイト、SNS。どれも勧められますが、開業直後に動かせる手は1人分です。どれが最も効くかは、こちらからは名指しできません。施策ごとの効果を比べた数字を持っていないためです。代わりに減らせます。減らす材料は施策の側ではなく、相談が来てほしい範囲・受けたい分野・開業後に毎週使える時間の形・開業日までに手元にそろうものという、自分の側の4つにあります。この4つに候補を当てると、候補は「今持つ」「範囲を狭めれば持てる」「今回は外す」の3つに分かれます。4つとも、いま机の上で書き出せます。

独立の準備を進めていると、集客の候補が並びます。ホームページを作る。事務所のページに記事を足す。Googleマップに事務所を登録する。ポータルサイトに載せる。SNSを始める。どれも勧められますし、どれもやったほうがよさそうに見えます。ただ、開業の準備には物件も、備品も、事件の引き継ぎもあります。集客に回せる手は1人分で、その1人は自分です。

どれが一番効くのかを調べると、読む記事ごとに勧めるものが違います。順番を決められないまま、候補が机の上に並んだままになります。

先に断っておきます。どれが最も効くかを、こちらから名指しすることはできません。施策ごとの効果の大きさを比べた数字を持っていないからです。持っていない数字で順番を付ければ、それは根拠ではなく好みになります。ただ、名指しはできなくても、候補を減らすことはできます。減らす材料は施策の側ではなく、自分の事務所の側にあります。

この記事では、開業前でも全部書き出せる4つの条件を先に置き、そのうえで候補を当てて振り分けるところまでを扱います。読み終えると、開業日から持つ施策が1つ決まり、外した候補にはなぜ外したかの理由が1行ずつ残っている状態になります。施策ごとの費用の相場、効き始めるまでの期間、始めれば相談が何件増えるかは扱いません。いずれも示せる根拠を持っていないためです。

なぜ開業前に、持つ施策を1つに決めておくのか

ここでは、この作業を独立準備のどこに置くかが決まります。「ターゲット分野の選定」で扱う分野を決め、「開業予定地の事務所を調べる」で近隣に何があるかを見ました。次に決めるのは、そのうち自分が開業日から持つのはどれかです。理由は3つあります。

理由1: 開業後は、決める時間そのものが取れなくなる

開業してしまえば、相談も、受任した事件も、事務所の運営も同時に動き始めます。候補を並べて比べる作業は、それ自体にまとまった時間が要ります。いまはその時間が取れる時期です。

理由2: 決めないまま始めると、全部に少しずつ手が付く

決めずに開業すると、勧められた順に手を付けることになります。手が1人分しかない事務所で2つを同時に持つと、どちらも中途になり、止まったときにどちらが原因かも分かりません。止まったこと自体は、しばらく気づかないこともあります。

理由3: 外した理由を残しておけば、後で当て直せる

いま外す候補は、永久に外すわけではありません。条件は動きます。分野を決めた、サイトができた、人が増えた、手が空く時期が来た。そのときに、外した候補をもう一度同じ表に当て直せます。理由が1行残っていれば、次に当て直すときに条件のどれを見ればよいかが分かります。

開業日から起算した進み方

時期の目安は次のとおりです。前後してかまいませんが、順番は入れ替えないでください。

時期 やること 完了の目安
準備期(この記事) 4つの条件を書き出し、候補を振り分ける 今持つ1つが決まり、外した候補に理由が1行ずつ付いている
準備期 決めた1つの中身を進める(サイトの形・制作会社・原稿) 開業日に人が見られる形になっている
開業日 相談を受けたときに、どこで事務所を知ったかを記録し始める 電話を取ったその場で書ける状態になっている
開業1〜3か月目 決めた1つに使った時間を、週ごとに書き留める 条件3に書いた時間との差が手元にある
条件が動いたとき 動いた条件だけを書き直して、表に当て直す 2つ目を持つかどうかが、記録の上で決まる

この記事が担うのは、上の表の1行目です。2行目から先は後続の記事で扱います。

どれが最も効くかは施策の名前では決まらない — 分かれ目は自分の側の4つの条件

同じ名前の施策でも、事務所によって要る作業が違います。「ホームページを作る」は、独立前の弁護士にとってはゼロから作る作業です。前の事務所で自分の名前のページを持っていた方であれば、そこにあった文章の一部は手元に残っているかもしれません。「記事を足す」も、相談で繰り返し聞かれてきたことを書き留めている方と、何も残っていない方とでは、書き始めるまでの距離が違います。

つまり、施策の名前は判定の材料になりません。名前が同じでも中身が違うからです。判定を分けているのは、次の4つです。

  1. 相談が来てほしい範囲。 開業予定地の近隣の市区からか、都道府県くらいの広さか、地域を問わないか
  2. 受けたい分野。 1つに決めているか、決めていないか
  3. 開業後に毎週使える時間の形。 量ではなく形です。まとまった時間が月に何回取れそうか、細切れの時間が週に何回取れそうか
  4. 開業日までに手元にそろうもの。 サイト、原稿の元になる記録、事務所と自分の写真、使えるアカウント

この4つに候補を当てると、候補は次の3つに分かれます。

判定 どういう場合か その候補をどう扱うか
今持つ 4つの条件のすべてに当てはまる 開業日から持つ1つにする
範囲を狭めれば持てる どれかに当たらないが、分野を1つに絞る・出す範囲を狭める・作業の一部を外に出す、のどれかで当たるようになる 狭めた形に直してから当て直す
今回は外す 狭めても当たらない 候補から外し、理由を1行残して、条件が動いたときに戻す

4つのうち1つでも当たらないものは、開業直後の事務所では続きにくくなります。これは、ウェブ集客の支援をしている側から見た判断です。効きの大小の話ではありません。効きが大きい候補であっても、毎週の時間が取れなければ着手した週で止まりますし、止まれば、効きが大きいかどうかはその事務所にとって関係のない話になります。

そして、1つに絞るというのは、残りを捨てるという意味ではありません。同時に持つのを1つにする、という意味です。

条件1と条件2 — 相談が来てほしい範囲と、受けたい分野

条件1 相談が来てほしい範囲

近隣の市区からか、都道府県くらいの広さか、地域を問わないか。開業前は実績がないので、手がかりは相談をどう受けるつもりかのほうにあります。来所して打ち合わせをする前提で進めるのか、電話とオンラインで完結させる相談も受けるのか。どちらが良いという話ではなく、開業時点でどちらの形で動くつもりかを書きます。

範囲を広く書きたくなったときは、その範囲から相談が来たときに実際に受けられるかを確かめてください。受けられない範囲まで広げて書くと、条件1が判定の役に立たなくなります。範囲は、後から広げられます。

条件2 受けたい分野

1つに決めているか、決めていないかを書きます。決めていない場合は、ここを先に決めてください。分野を決めないまま候補に当てると、どの候補も対象の範囲が広くなり、条件3の時間を多く使います。分野を決めるのは施策の話ではなく、施策の手前の話です。

開業前で、まだ自分の事務所として受けた相談がない場合は、前の事務所で扱ってきた事件のうち、もう一度受けたいと思うものがどの分野かから拾ってください。「ターゲット分野の選定」で決めた分野があるなら、それをそのまま書きます。

条件1と条件2は、噛み合っているか

2つを並べて書くと、噛み合っていない箇所が見えます。地域を問わず分野で選ばれたいと書きながら、来所しての面談を前提にしている、といった形です。噛み合わないまま候補に当てても、判定は出ません。先にどちらかを直してください。

条件 書き方 開業前の手がかり
1 相談が来てほしい範囲 市区/都道府県/地域を問わない のどれか 来所を前提にするか、電話とオンラインで完結する相談も受けるか
2 受けたい分野 分野名を1つ、または「決めていない」 前の事務所で扱ってきた事件のうち、もう一度受けたい分野

条件3 開業後に毎週使える時間の形 — 量ではなく形で書く

ここが4つの中で一番ずれやすいところです。ずれるのは、取れるはずの時間を書いてしまうからです。しかも開業前は、まだ実績で測れません。

開業前に書ける形

開業前に書けるのは、いま決められる枠です。相談が入る時間帯をどう置くか。期日が入る曜日はどこか。事務所にいる時間のうち、原稿や設定に充てると決めておく枠はどこか。合計の量ではなく、次の形で書きます。

  • まとまった時間(数時間続けて取れる時間)が、月に何回置けそうか
  • 細切れの時間(続けては取れないが、合間に何度か取れる時間)が、週に何回置けそうか
  • どちらも取れない週が、どれくらいの頻度で来そうか

3つ目を書くのは、期日が重なる週があるからです。その週にも止まらない形の候補でなければ、続きません。開業直後は、1件の受任で予定が大きく動きます。

書いた枠は、開業後に実測で置き換える

開業前に書けるのは見込みです。開業したら、その週に実際に手が空いた時間を書き留めて、この欄を置き換えてください。書き留める長さは、期日が重なった週と、そうでない週の両方が入るところまで取ります。どちらか一方しか入らない長さで測ると、取れる時間を多く見るか、少なく見るかのどちらかに寄ります。

こちらから「週に何時間」といった数を示すことはしません。示せる根拠を持っていないからです。事務所ごとに扱う事件も、受任の入り方も違います。

自分以外の手を、この欄に足さない

開業時に事務員を置く予定があっても、その方の時間をこの欄に足さないでください。開業直後の事務員の時間は、電話と来客と経理と期日の管理で埋まります。空いていない時間を条件に書き込むと、判定は通っても、着手した週に止まります。しかも止まったときに、判定が間違っていたのか、続け方が悪かったのかを切り分けられなくなります。いま動かせる手が1人分なら、1人分で判定してください。

条件4 開業日までに手元にそろうもの — 「ある」「ない」で書く

ゼロから作る候補と、あるものを直す候補とでは、条件3の時間の使い方がまるで違います。ここは「ある」「ない」で書けば足ります。

手元にあるか 何を指すか 開業前に用意できるか
サイト 事務所のサイトそのもの。自分で文字を直せる状態かどうかまで含める 開業日までに作るかどうかを決める段階
原稿の元になる記録 これまで相談で繰り返し聞かれてきたこと、説明に使ってきた言い回し いま書き出せる。開業前にできる作業
事務所と自分の写真 物件が決まっていれば事務所の写真、自分の写真 物件の引き渡し後に撮れる
使えるアカウント Googleビジネスプロフィール、SNSのアカウント 所在地が確定してからになるものがある
連絡を受ける形 電話番号、フォーム、返す人と返す時間帯の決めごと 開業日までに決めておく

「原稿の元になる記録」は、開業前にいちばん増やせる欄です。物件も、番号も、アカウントも、確定するまで動かせないことがあります。これまで説明してきたことを書き出す作業は、いまの手元だけで進みます。ここが埋まっているかどうかで、開業後に持てる候補の数が変わります。

候補を4つの条件に当てて振り分ける

候補の側は、作業の性質で並べます。見るのは次の4つです。

  • 要る時間の形。 一度まとまって作れば手が空くのか、毎週または毎月続ける前提か
  • 手元にあるものを使えるか。 ゼロから作るのか、あるものを直すのか
  • 自分でないと書けない部分がどれだけあるか。 ここが、作業を外に出せる範囲を決めます
  • 止めたときに残るもの。 続けられなくなったときに、作ったものが残るのか、止めた時点で見えなくなるのか

開業前に並ぶ候補を、この4つで並べると次のようになります。判定の列は空けてあります。自分の条件と突き合わせて、3つのうちどれかを書き込んでください。

候補 要る時間の形 手元にあるものを使えるか 自分でないと書けない部分 止めたときに残るもの 判定
事務所のサイトを作る 形を決めるまでにまとまった時間。決めた後は制作の側の作業 手元の原稿があれば使える。なければ書くところから 取扱分野・費用の決まり方・受けられる範囲など、事務所として決める部分 作ったページは残る
事務所のページに記事を足す 続ける前提の作業。細切れの時間でも進められる部分がある 相談で繰り返し聞かれてきたことの記録があれば使える 中身が正しいかを見る部分 公開したページは残る
Googleマップの事務所情報を整える 登録とオーナー確認は一度で終わる部分が多い。載せた情報を新しくする作業は続く 所在地・電話番号・受付の時間・写真 載せる情報が正しいかの確認 入れた情報は残る
ポータルサイトに載せる 申込みと紹介文の用意。載せた後は、届いた連絡への対応が続く 事務所の紹介文・取扱分野 紹介文と、届いた連絡への返信 掲載をやめると、掲載の面は残らない
SNSを続ける 続ける前提の作業。間が空くと更新が止まったことが見える アカウントがあれば使える 投稿の中身 過去の投稿は残るが、時間とともに流れていく

この表は、支援している側から見た作業の性質を並べたものです。どれが多く相談を連れてくるかを比べたものではありません。比べるための数字を持っていないので、効きの列は置いていません。

当て方は2段

一段目は、条件1と条件2に結びつく形で出せるかどうかです。決めた範囲と分野に向けて出せる候補かを見ます。範囲を近隣の市区に置いているのに、その候補が地域と結びつかない形でしか出せないなら、そこは噛み合っていません。逆に、地域を問わず分野で選ばれたい事務所が、所在地と強く結びついた形の候補を主役に置いても、同じことが起きます。ここで噛み合わない候補は、「範囲を狭めれば持てる」に回します。

二段目は、条件3と条件4に、その候補の作業の形が合うかどうかです。続ける前提の候補は、細切れの時間が週に何回か取れる事務所でなければ持てません。まとまった時間しか置けないなら、続ける前提の候補は「今回は外す」に寄ります。条件4で「ない」が多い候補は、作るところからになるので、そのぶん条件3の時間を使います。

分野を決めていない場合は、二段目に進まないでください。決めていない状態のまま当てると、どの候補も対象が広くなり、時間の欄がどれも足りなくなります。全部が「今回は外す」になる場合、その原因が条件2にあることは珍しくありません。

外に出す判断も、この表の列で切る

外に出す判断は、「自分でないと書けない部分」の列で切ります。事務所として決める部分と、中身が正しいかを見る部分は、外に出せません。それ以外は外に出せる可能性があります。どこまで外に出すのが妥当かを費用の側から示すことはしません。費用の相場を持っていないためです。切るのは費用ではなく、自分でないと書けない部分がどれだけ残るか、です。その部分だけを自分の時間で持てるなら、条件3に対して「範囲を狭めれば持てる」になります。

開業日をまたぐ作業の分け方 — 開業前に終わるものと、開業後も続くもの

開業直後の事務所には、他の事務所にはない事情が1つあります。作業のしやすさが、開業日を境に大きく変わることです。

開業前のほうが進むもの

まとまった時間が取れるのは、たいてい開業前です。形を決める作業、原稿を書き出す作業、制作会社と話す作業は、開業前のほうが進みます。開業してからは、相談と受任が予定の上に乗ります。

開業後でないと動かないもの

所在地が確定してからでないとできない登録があります。物件の引き渡し、電話番号の開通、看板や表札の設置。写真も、そのあとです。これらは開業前の表に「ない」と書いておいて、開業後に埋めます。

1つに絞る判定は、どちらで行うか

判定に使うのは、開業後の条件3です。開業前にまとまった時間が取れるからといって、続ける前提の候補を選ぶと、開業後の週で止まります。開業前の時間は、選んだ1つを開業日に間に合わせるために使う時間であって、毎週続けられるかどうかの根拠にはなりません。

作業 開業前/開業後 判定に使うか
形を決める・原稿を書き出す・制作会社と話す 開業前のほうが進む 使わない(1つを間に合わせるための時間)
所在地・電話番号を伴う登録、写真 開業後でないと動かない 使わない(条件4に「ない」と書いておく欄)
毎週または毎月続く作業 開業後にずっと続く 使う(条件3で持てるかを判定する)

1つに絞りきれない場合と、開業後に条件が変わった場合

振り分けても、きれいに1つにならないことがあります。残り方は、おおむね次の4つです。

「今持つ」が2つ以上残った場合

どちらも持てるということなので、どちらを選んでも判定としては誤りではありません。分けるとすれば、条件3に余りが出るほうから持ってください。置いた枠をちょうど使い切る候補は、期日が重なった月に止まります。余りのあるほうから始めれば、止まらずに済む月が増えます。これも支援している側の判断で、どちらが多く相談を連れてくるかという話ではありません。もう1つは外すのではなく、「次に持つもの」として書き留めておいてください。

「範囲を狭めれば持てる」だけが残った場合

狭めた形に直してから、もう一度当て直してください。ここで直すのは候補の側ではなく、条件2(分野)と条件1(範囲)の側です。狭めた条件を、条件の表にそのまま書き直してください。頭の中だけで狭めて当て直すと、狭めた前提を忘れたまま着手することになり、実際の作業は狭める前の広さで進みます。

全部が「今回は外す」になった場合

狭め方が3つあります。分野を1つに絞る、出す範囲を狭める、自分でないと書けない部分だけを残して他を外に出す。この3つを1つずつ当ててから、もう一度表に戻ってください。3つとも当てても全部が外れるなら、条件3の枠が足りていないということになります。その場合に足すべきなのは施策ではなく、時間か手です。開業のスケジュールの側を動かせるかどうかも、この段で見ておく場所です。

開業後に条件が動いたとき

見直しの合図は、条件1から条件4のどれかが動いたときに置いてください。分野を変えた、サイトができた、事務員の手が空くようになった、範囲を広げた。動いたら、その条件だけを書き直して、表に当て直します。

どれくらいの期間で何が見えるかを、こちらから示すことはしません。示せる根拠を持っていないからです。見えるかどうかは、次の3つの記録が溜まってから、自分の事務所の数字で判断してください。

  • 経路別の新規相談の件数。 相談を受けたときに、何を見て来られたかを一言うかがって記録に残します。紹介、法律相談センターや法テラス、検索、ポータルサイト、その他。開業日から始められます
  • その候補に実際に使った時間。 週ごとに書き留めます。条件3に書いた枠との差が、次に判定をやり直すときの材料になります
  • 止まった週があったか。 あれば、その週に何が重なっていたかも1行だけ残します

よくある失敗と注意点

開業前に判定する段でつまずきやすいところを、5つ挙げます。

  • 失敗1: 開業前に取れる時間で、条件3を書く — 準備期の時間は、開業後には残りません。判定に使うのは開業後の枠です
  • 失敗2: 事務員の時間を条件3に足す — 開業直後の事務員の時間は、電話と来客と期日の管理で埋まります。動かせる手が1人分なら、1人分で判定してください
  • 失敗3: 分野を決めないまま候補に当てる — どの候補も対象が広くなり、時間の欄がどれも足りなくなります。全部が「今回は外す」になる原因は、たいていここです
  • 失敗4: 外した候補を、理由を書かずに消す — 条件は動きます。理由が残っていないと、次に当て直すときに条件のどれを見ればよいか分かりません
  • 失敗5: 2つを同時に持って開業する — どちらも中途になり、止まったときにどちらが原因かも分かりません。「同時に持つのを1つにする」であって、残りを捨てるという意味ではありません

もう一つ、注意点があります。この4つの条件で決まるのは「いまの事務所で持てるかどうか」までであって、「どれが最も相談を連れてくるか」ではありません。後者を出すには、施策ごとの効果を比べた数字が要り、こちらはそれを持っていません。持てるかどうかを先に決めておくと、持てないものに手を付けて止まる回数が減ります。

まとめ — 次のステップ

この記事の要点

  • どれが最も効くかはこちらから名指しできない。施策ごとの効果を比べた数字を持っていないため。名指しはできなくても、候補を減らすことはできる
  • 減らす材料は施策の側ではなく、自分の事務所の側の4つの条件。相談が来てほしい範囲・受けたい分野・開業後に毎週使える時間の形・開業日までに手元にそろうもの
  • 4つに候補を当てると、候補は「今持つ」「範囲を狭めれば持てる」「今回は外す」の3つに分かれる
  • 条件3は量ではなく形で書く。まとまった時間が月に何回、細切れが週に何回、どちらも取れない週がどれくらい来そうか
  • 条件3に自分以外の手を足さない。開業直後に動かせる手が1人分なら、1人分で判定する
  • 条件4で開業前にいちばん増やせるのは原稿の元になる記録。物件も番号もアカウントも確定待ちだが、これまで説明してきたことの書き出しはいま進む
  • 当て方は2段。一段目は範囲と分野、二段目は時間の形と手元にあるもの。分野を決めていない場合は二段目に進まない
  • 判定に使うのは開業後の条件3。開業前のまとまった時間は、選んだ1つを開業日に間に合わせるための時間であって、続けられる根拠にはならない
  • 外した候補には理由を1行残す。条件は動くので、動いたときに同じ表へ当て直せる
  • 1つに絞るとは、同時に持つのを1つにするという意味であって、残りを捨てることではない

次のステップ

持つ1つが決まったら、次はその中身に入ります。決めた1つが事務所のサイトであれば、次の「専門サイト vs 事務所サイト」で、どちらの形で作るかを決めます。範囲と分野をこの記事で書き出してあれば、その判断はそのまま続きます。

この記事で作った表は、開業してからも使います。条件が動いたときに、動いた条件だけを書き直して当て直せば、2つ目を持つかどうかがその場で決まります。外した候補の理由の行も、そのときに読み返す場所です。開業後は、経路別の相談の件数と、使った時間と、止まった週の3つを記録し始めてください。次に判定をやり直すときの材料が、自分の事務所の中に残ります。

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