効果測定の始め方
この記事のポイント
集客施策はやりっぱなしでは成果が出ない。Googleアナリティクス(GA4)とGoogleサーチコンソールの2つの無料ツールを設定し、問い合わせ件数・訪問者数・検索キーワード・検索順位・広告費対効果の5指標を月1回30分で確認する。一人事務所でも継続できる最小限の仕組みを開業3ヶ月目に確立する。
目次
記事1〜11で、サイト構築・コンテンツ・導線・ポータル・Googleビジネスプロフィール・リスティング広告という集客施策を一通り実施してきました。開業3ヶ月目を迎えた今、次にやるべきことは「施策の効果を測定する仕組みを作る」ことです。
「データ分析は難しそう」と感じるかもしれませんが、必要なツールは2つだけ。確認する指標も5つだけ。月1回30分で確認できる仕組みを作れば、一人事務所でも十分に継続できます。
なぜ効果測定が必要か — やりっぱなしの3つのリスク
集客施策を実施しただけで効果を確認しないと、以下の3つのリスクがあります。
| リスク | 具体的な状態 | 起きること |
|---|---|---|
| 無駄な費用を払い続ける | 効果のない広告キーワードやポータルサイトに毎月費用が発生している | 3ヶ月で15〜30万円が成果なく消える可能性 |
| 時間を無駄にする | 読まれていない記事に執筆時間を投資し続ける | 月10時間の執筆が問い合わせに結びつかない |
| 原因が分からない | 問い合わせが来ない原因が「アクセスの問題」なのか「導線の問題」なのか判別できない | 的外れな改善に時間を費やす |
効果測定は、これらのリスクを「数字で可視化して、判断の根拠にする」ためのものです。「なんとなく効いている気がする」ではなく、「先月は問い合わせが3件で、そのうち2件がSEO経由、1件が広告経由だった」と把握できれば、次にやるべきことが明確になります。
効果測定のもう1つの重要な役割は、「やめる判断」を支えることです。「ポータルサイト活用」の記事で学んだ撤退判断、「リスティング広告」の記事で学んだ縮小判断は、いずれも効果測定のデータがなければできません。
効果測定を始めるべきタイミング
開業3ヶ月目が効果測定を始める最適なタイミングです。その理由は3つあります。
- データが蓄積されている — サイト公開と同時にGA4を設定していれば、3ヶ月分のデータがあります。1ヶ月目のデータと3ヶ月目を比較することで、成長傾向が見えてきます
- SEOの効果が出始める時期 — 記事を継続的に公開していれば、開業3ヶ月目あたりから検索順位が付き始めます。この変化をデータで捉えることが重要です
- 広告・ポータルの費用対効果を判断する時期 — 「ポータルサイト活用」の記事で学んだ3フェーズ戦略では、3ヶ月目が「費用対効果の見直し」の時期です。データがなければ判断できません
2つの必須ツール — GA4とサーチコンソールの役割
効果測定に使うツールは2つだけです。どちらもGoogleが提供する無料ツールで、サイトを運営していれば誰でも使えます。
| ツール | 何が分かるか | 弁護士サイトでの活用 |
|---|---|---|
| Googleアナリティクス(GA4) | サイトのアクセス状況(訪問者数・閲覧ページ・流入元・問い合わせ数) | 「先月は何人がサイトに来て、何件問い合わせがあったか」「どのページが見られているか」を把握する |
| Googleサーチコンソール | Google検索での表示状況(検索キーワード・表示回数・クリック数・平均順位) | 「どのキーワードで検索されているか」「狙ったキーワードで何位に表示されているか」を把握する |
2つのツールで「Why」と「What」が分かる
GA4で「サイトに何が起きているか(What)」を把握し、サーチコンソールで「なぜそうなっているか(Why)」の手がかりを得ます。例えば、GA4で「先月のアクセスが減った」と分かったら、サーチコンソールで「どのキーワードの順位が下がったか」を確認することで原因を特定できます。
設定のタイミング — サイト公開と同時がベスト
両ツールとも、サイト公開と同時に設定するのが理想です。データは設定した日から蓄積が始まるため、後から設定すると過去のデータは取れません。
まだ設定していない場合は、この記事を読んでいる今日中に設定してください。設定作業自体は30分〜1時間で完了します。3ヶ月前にサイトを公開してデータが蓄積されていれば、すでに改善の材料が揃っています。
GA4の導入手順と基本設定
ここでは、Googleアナリティクス(GA4)の導入手順を解説します。
導入の4ステップ
- Googleアナリティクスのサイトにアクセスする — Googleアカウント(Googleビジネスプロフィールと同じアカウントを推奨)でログインします
- プロパティを作成する — サイト名(「○○法律事務所」)とサイトのURLを入力します。タイムゾーンは「日本」、通貨は「日本円」を選択します
- 測定IDを取得する — プロパティ作成後に表示される測定ID(「G-」で始まる文字列)をコピーします
- WordPressに測定IDを設定する — WordPressのプラグイン(Site Kit by Google等)をインストールし、測定IDを入力します。プラグインが自動的にサイトの全ページにGA4のコードを設置します
設定が完了すると、翌日からデータの蓄積が始まります。プラグインを使わない場合は、テーマのヘッダー部分にGA4のコードを直接追記する方法もありますが、WordPressの更新でコードが消えるリスクがあるため、プラグイン経由の設定を推奨します。
なお、GA4の初期設定では「拡張計測機能」が有効になっています。この機能により、スクロール・外部リンクのクリック・サイト内検索・ファイルのダウンロードなどが自動で計測されます。弁護士サイトでは特に外部リンクのクリック(ポータルサイトへの遷移など)と電話リンクのクリックが有用です。
GA4で最初に確認すべき3つの画面
GA4には多くの機能がありますが、一人事務所が確認すべき画面は3つだけです。
| 画面 | 場所 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| レポートのスナップショット | レポート → レポートのスナップショット | 訪問者数・ページビュー数の概要。先月と今月の比較ができる |
| ページとスクリーン | レポート → エンゲージメント → ページとスクリーン | どのページがよく見られているか。閲覧数の多いページが分かる |
| トラフィック獲得 | レポート → 集客 → トラフィック獲得 | 訪問者がどこから来たか(自然検索・広告・直接アクセス・SNS等) |
最初は「レポートのスナップショット」だけ見れば十分です。月間の訪問者数が先月より増えているか、減っているかが一目で分かります。
GA4を設定する際の注意点
- 必ず「GA4」を選ぶ — 古い「ユニバーサルアナリティクス(UA)」はすでにサポートが終了しています。新規作成では自動的にGA4が選択されますが、念のため確認してください
- サイト全ページにコードが設置されているか確認する — プラグインを使えば全ページに自動設置されますが、テーマの更新やプラグインの競合で外れてしまうことがあります。設定後にGA4の「リアルタイム」レポートを開き、自分でサイトにアクセスしてデータが表示されるか確認しましょう
- 自分のアクセスを除外する — 自分がサイトを確認するたびにアクセス数がカウントされると、正確なデータが取れません。GA4の設定画面で、自分のIPアドレスを除外するフィルタを設定できます
サーチコンソールの設定と見方
Googleサーチコンソールは、Google検索であなたのサイトがどう表示されているかを教えてくれるツールです。
設定の3ステップ
- Googleサーチコンソールにアクセスする — GA4と同じGoogleアカウントでログインします
- プロパティを追加する — 「URLプレフィックス」を選び、サイトのURL(https://○○.com)を入力します
- サイトの所有権を確認する — GA4をすでに設定している場合は、「Googleアナリティクス」での確認方法が最も簡単です。GA4のアカウントが自動的に認証されます
設定後、データが表示されるまでに数日かかります。
サーチコンソールで見るべき4つの数値
| 数値 | 意味 | 弁護士サイトでの読み方 |
|---|---|---|
| 検索キーワード | どのキーワードで検索されているか | 狙ったキーワード(「離婚 弁護士 地域名」等)が表示されているか確認する |
| 表示回数 | 検索結果に何回表示されたか | 表示回数が多いのにクリックが少ない→タイトルが魅力的でない可能性 |
| クリック数 | 検索結果から何回クリックされたか | クリック数=サイトへの流入数。GA4の訪問者数と概ね一致する |
| 平均掲載順位 | 各キーワードでの平均検索順位 | 10位以内(検索結果1ページ目)に入っているかを確認する |
サーチコンソールのメイン画面(「検索パフォーマンス」)を開けば、これら4つの数値が一覧で表示されます。期間を「過去28日間」に設定し、先月と比較することで、サイトの検索状況の変化を把握できます。
サーチコンソールの読み方 — 実践例
開業3ヶ月目の弁護士サイトを例に、サーチコンソールの読み方を示します。
- 「離婚 弁護士 新宿」で表示回数100回・クリック5回・平均順位15位 — 検索結果の2ページ目に表示されている。1ページ目(10位以内)に入ればクリック数が大幅に増える見込み。記事の内容充実や内部リンクの追加で順位改善を狙う
- 「養育費 計算方法」で表示回数500回・クリック30回・平均順位8位 — 検索結果1ページ目に表示されており、安定したクリックが得られている。この記事は現状維持でよい
- 意図していないキーワード(「弁護士 年収」等)でクリックが多い — 弁護士になりたい人のアクセスで、問い合わせにはつながらない。記事の内容を見直すか、そのまま放置する(費用は発生しない)
このように、サーチコンソールのデータを読むことで「次に何をすべきか」が見えてきます。具体的な改善の進め方は、次の記事「改善サイクルの回し方」で詳しく解説します。
問い合わせの計測方法 — フォーム送信と電話タップ
効果測定で最も重要な指標は「問い合わせ件数」です。アクセス数が増えても問い合わせが増えなければ、集客としては成功していません。問い合わせを正確に計測するために、コンバージョン(目標達成)の設定を行います。
フォーム送信の計測
お問い合わせフォームが送信されたことを計測します。
- 送信完了ページを用意する — フォーム送信後に「お問い合わせありがとうございます」と表示されるページを用意します。WordPressのフォームプラグイン(Contact Form 7等)で設定できます
- GA4でコンバージョンを設定する — 送信完了ページのURLを「コンバージョンイベント」として登録します。GA4の管理画面から、「イベント」→「イベントを作成」で設定します
- 動作確認 — 自分でフォームを送信し、GA4に計測されるか確認します(翌日に反映されます)
電話タップの計測
スマートフォンで電話番号をタップした回数を計測します。弁護士への問い合わせは電話が多いため、この計測を設定しないと効果を正しく把握できません。
- GA4の自動イベント — GA4には「click」イベントが自動で計測される機能があります。電話番号のtelリンクのクリック(タップ)は、GA4の「イベント」画面で確認できます
- Google広告を使っている場合 — Google広告の管理画面でも電話コンバージョンを設定できます。「リスティング広告」の記事で述べたとおり、広告経由の電話問い合わせを計測するために設定しておきましょう
一人事務所の現実的な計測方法
GA4のコンバージョン設定が技術的に難しい場合は、最も簡単な方法として「メールの受信件数を手動で数える」ことから始めてもかまいません。
- 毎月1日に、前月の問い合わせメール件数を数える
- 電話での問い合わせは、受電時にメモを残しておく
- フォーム・電話・LINEの合計件数を「今月の問い合わせ件数」として記録する
完璧な計測の仕組みを作ることよりも、毎月の問い合わせ件数を「記録する習慣」を作ることが最も重要です。GA4の設定は、余裕ができたときに改善すれば十分です。
問い合わせの経路を区別する
問い合わせ件数の合計だけでなく、どの経路から来た問い合わせかを区別して記録しておくと、施策ごとの効果判断に役立ちます。
| 経路 | 見分け方 | 判断に使う場面 |
|---|---|---|
| SEO(自然検索) | GA4の「トラフィック獲得」で「Organic Search」経由の問い合わせ | 記事数や内容の改善判断 |
| リスティング広告 | Google広告の管理画面でコンバージョン数を確認 | 広告の継続・縮小・撤退判断 |
| ポータルサイト | ポータル経由のメールや電話を別途カウント | ポータルの費用対効果判断 |
| Googleビジネスプロフィール | Googleビジネスプロフィールの管理画面で「電話」「ウェブサイト」のクリック数を確認 | Googleビジネスプロフィールの最適化判断 |
GA4のコンバージョン設定が完了していれば、SEOと広告の経路は自動で区別されます。ポータルサイト経由の問い合わせは、ポータルからの通知メールを別途カウントします。
月次で見るべき5つの指標
毎月1回、30分で以下の5つの指標を確認します。指標は「問い合わせに近い順」に優先度を設定しています。
| 優先度 | 指標 | 確認ツール | 見るべきポイント | 確認にかかる時間 |
|---|---|---|---|---|
| 1(最重要) | 問い合わせ件数 | GA4 / メール受信数 | 先月と比べて増えているか。どの経路(検索・広告・ポータル)から来たか | 5分 |
| 2 | サイト訪問者数 | GA4 | 先月と比べて増えているか。減っていたら原因を確認 | 5分 |
| 3 | 検索キーワード | サーチコンソール | 狙っているキーワードで表示されているか。新しいキーワードが見つかるか | 5分 |
| 4 | 検索順位 | サーチコンソール | 主要キーワードの順位が上がっているか、下がっているか | 5分 |
| 5 | 広告の費用対効果 | Google広告 | 問い合わせ1件あたりのコスト。「リスティング広告」の記事で学んだ判断基準と照合 | 10分 |
最重要の指標は「問い合わせ件数」です。アクセス数や検索順位は問い合わせを増やすための手段であって、それ自体が目的ではありません。「アクセスは増えたが問い合わせが増えない」場合は、導線やCTAに問題があります。「アクセスも問い合わせも増えない」場合は、記事数やSEOに問題があります。この判断が、次の記事「改善サイクルの回し方」の核になります。
データの記録方法
月次で確認した数値は、シンプルな表に記録しておきます。3ヶ月分のデータが蓄積されると、「増加傾向か、横ばいか、減少傾向か」が見えてきます。
| 月 | 問い合わせ | 訪問者数 | 主要キーワード順位 | 広告費 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ○月 | 3件 | 450人 | 「離婚 弁護士 地域名」18位 | 8万円 | 広告経由2件、検索経由1件 |
| ○月 | 5件 | 620人 | 同12位 | 8万円 | 検索流入が増加傾向 |
スプレッドシートでもノートでも構いません。大切なのは毎月記録し続けることです。
よくある失敗 — 効果測定で避けるべきこと
- すべての指標を追おうとする — GA4には多数の指標がありますが、最初から全部見ようとすると挫折します。まずは5つの指標だけに絞り、慣れてきたら範囲を広げましょう
- 毎日データを確認する — 日次の変動に一喜一憂しても意味がありません。月1回の確認で十分です。SEOの順位変動は1〜2週間のスパンで見る必要があります
- アクセス数だけを気にする — 「今月は1,000人来ました」と喜んでも、問い合わせがゼロなら集客としては成功していません。常に「問い合わせ件数」を最上位の指標として判断します
- ツールの設定を後回しにする — GA4やサーチコンソールは設定した日からしかデータが取れません。1ヶ月後回しにすれば、1ヶ月分のデータを永久に失います
効果測定の設定チェックリスト
- GA4のアカウントを作成し、サイトに測定コードを設置したか
- GA4の3つの画面(スナップショット・ページとスクリーン・トラフィック獲得)を確認したか
- サーチコンソールにサイトを登録し、所有権を確認したか
- サーチコンソールの検索パフォーマンス画面を確認したか
- フォーム送信のコンバージョンを設定したか(または問い合わせメールを手動で数える準備をしたか)
- 電話タップの計測を設定したか(または受電メモを準備したか)
- 月次確認の予定をカレンダーに入れたか(毎月1日等)
- 月次記録用の表(スプレッドシート等)を用意したか
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 効果測定なしでは、無駄な費用・時間・的外れな改善の3つのリスクがある
- 必要なツールはGA4とサーチコンソールの2つだけ。どちらも無料
- GA4では訪問者数・閲覧ページ・流入元・問い合わせ数を把握する
- サーチコンソールでは検索キーワード・表示回数・クリック数・平均順位を把握する
- 問い合わせの計測はフォーム送信完了ページのコンバージョン設定が基本。難しければメール件数の手動カウントから始める
- 月次で見るべき指標は5つ。最重要は「問い合わせ件数」
- 月1回30分の確認を習慣化することが最も重要
ツールの設定と月次確認の仕組みが整ったら、次はデータを見て「何を改善すべきか」を判断し、実行する方法を学びます。「改善サイクルの回し方」の記事で、課題の特定→改善アクションの選択→効果検証の具体的な進め方を解説します。