開業時に制作会社に作ってもらったホームページをそのまま使い続けている。見た目が古い気はするが、リニューアルにいくらかかるのかも分からないし、そもそもリニューアルして効果があるのかも分からない。独立して間もない時期は資金にも限りがあり、費用をかけて作り直しても問い合わせが増える保証はありません。
この記事では、弁護士がホームページをリニューアルすべきかどうかを判断するための5つの基準を示します。5つの基準に自分のサイトを当てはめて確認すれば、リニューアルが必要な状態か、現状のままで問題ないかを判断できます。また、全面的にリニューアルすべき場合と部分的な改修で十分な場合の分かれ方についても整理します。
リニューアルが必要かどうかは5つの基準で判断できる
ホームページのリニューアルを検討するとき、「見た目が古い」「なんとなく良くない気がする」という感覚で判断すると、必要のないリニューアルに費用をかけることになります。逆に、明確な問題があるのに放置していると、検索からの流入や問い合わせの機会を失い続けます。
リニューアルが必要かどうかは、以下の5つの基準で判断できます。
| 基準 | 問題がある状態 | 問題がない状態 |
|---|---|---|
| 1. スマートフォン対応 | スマートフォンで表示が崩れる、文字が小さすぎて読めない | スマートフォンで正しく表示され、操作しやすい |
| 2. 更新のしやすさ | 記事やお知らせの追加に制作会社への依頼が必要 | 自分でログインして記事を追加・修正できる |
| 3. 分野別ページの有無 | 取扱分野が1ページにまとめて列挙されている | 分野ごとに独立したページがある |
| 4. 表示速度 | ページの表示に3秒以上かかる | 2秒以内に表示される |
| 5. デザインの時代性 | 10年以上前のデザインのまま更新されていない | 現在の標準的なデザインになっている |
5つすべてに問題がなければ、リニューアルは不要です。1つでも問題がある場合は、その基準に関連する改善を検討します。以下、それぞれの基準について確認方法を説明します。
基準1 スマートフォンで正しく表示されるか
現在、法律相談を検索する人の大半はスマートフォンを使っています。Googleも2019年以降、モバイルファーストインデックスを採用しており、スマートフォンでの表示を基準にサイトを評価しています。スマートフォンに対応していないサイトは、検索順位においても不利になります。
確認方法
自分のスマートフォンでサイトを開き、以下の点を確認します。
- 横スクロールが発生しないか。ページを表示したときに、左右にスクロールしないと全体が見えない場合、スマートフォンに対応していません
- 文字が読める大きさか。ピンチ操作(指で拡大)をしないと文字が読めない場合、対応していません
- ボタンやリンクが押しやすいか。電話番号やフォームへのリンクが小さすぎて押しにくい場合、相談者がたどり着けません
- メニューが使えるか。パソコン用のメニューがそのまま表示されていて操作しにくい場合、対応していません
より正確に確認したい場合は、Googleの「モバイルフレンドリーテスト」を使う方法もありますが、自分のスマートフォンで実際に操作してみるのが最も確実です。
この基準に該当する場合
スマートフォンに対応していない場合は、最優先で対応すべきです。他の4つの基準に問題がなくても、この1つだけで検索からの流入と問い合わせの機会を失っている可能性が高いです。対応方法は、レスポンシブデザイン(画面サイズに応じて表示が切り替わるデザイン)への変更が一般的です。
基準2 自分で記事やお知らせを更新できるか
ホームページに新しい記事やお知らせを追加するたびに制作会社に依頼しなければならない場合、更新のハードルが高くなります。依頼してから反映されるまでに数日かかる、1回の更新に数千円〜数万円の費用がかかる、という状態では、事実上ホームページが更新されなくなります。
確認方法
- 管理画面にログインできるか。WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)が導入されていれば、ブラウザからログインして記事を追加できます。ログインURLやパスワードが分からない場合は、制作会社に確認します
- 記事の追加が自分でできるか。ログインできても、操作が複雑で記事を追加できない場合は、実質的に更新できないのと同じです
- 最後に更新した日付はいつか。サイトの「お知らせ」や「コラム」の最終更新日を確認します。1年以上更新されていなければ、更新体制に問題があります
この基準に該当する場合
CMSが導入されていない静的HTMLのサイトであれば、CMSへの移行を検討します。WordPressが最も一般的な選択肢です。CMSが導入されているが操作方法が分からない場合は、制作会社に操作マニュアルを依頼するか、基本操作のレクチャーを受けます。
基準3 取扱分野ごとのページがあるか
取扱分野が1ページにまとめて列挙されているサイトは、検索エンジンから見ると「何のページなのか」が判断しにくいです。「離婚」「相続」「交通事故」を1ページに並べると、いずれのキーワードで検索されたときにも中途半端な評価になります。
確認方法
- 取扱分野のページが分野ごとに分かれているか。「離婚」だけで1ページ、「相続」だけで1ページ、という構成になっているかを確認します
- 各分野のページに十分な情報があるか。分野名と一文の説明だけでは、検索エンジンが内容を評価する材料が足りません。対応する手続き、解決の流れ、費用の目安などが書かれているかを確認します
この基準に該当する場合
分野別ページの追加は、サイト全体のリニューアルをしなくても対応できる場合が多いです。CMSが導入されていれば、新しいページを追加すればよいです。分野ごとのページを作る際に含めるべき情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容の例(離婚の場合) |
|---|---|
| 対応する手続きの種類 | 協議離婚・調停離婚・裁判離婚の説明 |
| 解決の流れ | 相談から解決までのステップ |
| よくある相談内容 | 親権・養育費・財産分与・慰謝料など |
| 費用の目安 | 着手金・報酬金の金額または算定方法 |
| 事務所の特徴 | 取扱件数や対応体制など、事実に基づく情報 |
基準4 表示速度が遅くないか
ページの表示に時間がかかるサイトは、訪問者の離脱率が高くなります。Googleも表示速度をランキング要因のひとつとしています。特にスマートフォンでの表示速度は重要で、3秒以上かかると半数以上の訪問者が離脱するとされています。
確認方法
GoogleのPageSpeed Insightsを使えば、自分のサイトの表示速度を無料で計測できます。使い方は以下の通りです。
- ブラウザで「PageSpeed Insights」を検索し、ツールのページを開く
- 自分のサイトのURLを入力して「分析」をクリックする
- 結果が表示される。「パフォーマンス」のスコアが50未満であれば、表示速度に問題がある
結果には「改善できる項目」も表示されます。画像のサイズが大きすぎる、不要なJavaScriptが読み込まれている、といった具体的な原因が分かります。
この基準に該当する場合
表示速度の改善は、原因によって対応が異なります。
| 原因 | 対応方法 | 自分で対応できるか |
|---|---|---|
| 画像のサイズが大きい | 画像を圧縮する、適切なサイズにリサイズする | 画像圧縮ツールを使えば自分で可能 |
| 不要なプラグインが多い | 使っていないプラグインを無効化・削除する | WordPressの管理画面から自分で可能 |
| サーバーの応答速度が遅い | サーバーのプランを上げる、または移行する | 制作会社またはサーバー会社に依頼が必要 |
| 古いHTMLの構造 | ソースコードの書き直し | 制作会社に依頼が必要 |
画像の圧縮やプラグインの整理だけで改善する場合は、リニューアルは不要です。サーバーやHTMLの構造に原因がある場合は、リニューアルの際にまとめて対応するのが効率的です。
基準5 デザインが10年以上前のままでないか
デザインが古いこと自体は、検索順位に直接影響しません。しかし、相談者がサイトを訪れたときの第一印象には影響します。法律事務所に相談するかどうかは信頼感に左右されるため、明らかに古い見た目のサイトは不利になります。
古いデザインの特徴
以下の特徴に複数該当する場合、デザインが古い印象を与えている可能性があります。
- Flashアニメーションを使っている。Flash自体が2020年にサポート終了しており、現在のブラウザでは表示されません
- フレーム構造を使っている。ページの一部だけが切り替わるフレーム構造は、2000年代前半のデザイン手法です
- テーブルレイアウトを使っている。ページ全体をHTMLのtableタグで構成するレイアウトは、現在の標準とは異なります
- 幅が固定されていて余白が大きい。パソコンの画面で見たとき、コンテンツの幅が狭く左右に大きな余白がある場合、古いモニター幅に合わせた設計です
- アクセスカウンターや「Last Updated」の表示がある。2000年代の個人サイトに多く見られた要素です
この基準に該当する場合
上記の特徴に複数該当する場合、部分的な修正ではなく全面的なリニューアルが必要になることが多いです。HTMLの構造自体が古いため、デザインだけを変えることが技術的に難しいためです。
ただし、デザインが古いだけで他の4つの基準に問題がなければ、リニューアルの優先度は低いです。スマートフォン対応や更新のしやすさのほうが、集客への影響は大きいです。
全面リニューアルと部分改修の判断の分かれ方
5つの基準を確認した結果、リニューアルが必要だと判断した場合でも、全面的にリニューアルすべきか、部分的な改修で十分かは別の判断になります。
| 該当する基準 | 推奨される対応 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 基準1(スマートフォン非対応)のみ | レスポンシブデザインへの変更。サイト全体の作り直しになることが多い | 30万〜100万円程度 |
| 基準2(更新できない)のみ | CMSの導入。既存のデザインをCMSに移行する | 20万〜50万円程度 |
| 基準3(分野別ページがない)のみ | ページの追加。サイト全体のリニューアルは不要 | 1ページあたり3万〜10万円程度 |
| 基準4(表示速度が遅い)のみ | 原因に応じた部分改修 | 5万〜30万円程度 |
| 基準5(デザインが古い)のみ | デザインの刷新。構造が古い場合は全面リニューアル | 30万〜100万円程度 |
| 複数の基準に該当 | 全面リニューアルが効率的。個別に対応するより総費用が抑えられることが多い | 50万〜150万円程度 |
リニューアルの際に注意すべきこと
- 既存ページのURLを変えない。URLが変わると、検索エンジンからの評価がリセットされます。やむを得ず変更する場合は、旧URLから新URLへのリダイレクト(301リダイレクト)を設定します
- 制作会社の選定基準を決める。「デザインがきれい」だけでなく、「弁護士のサイトを作った実績があるか」「CMSの導入・運用をサポートしてくれるか」「公開後の更新・保守にどの程度対応してくれるか」を確認します
- リニューアル後の運用体制を決める。作って終わりにしないために、「誰が」「どの頻度で」「何を」更新するかを事前に決めておきます
まとめ
ホームページのリニューアルが必要かどうかは、以下の5つの基準で判断できます。
- 基準1: スマートフォンで正しく表示されるか
- 基準2: 自分で記事やお知らせを更新できるか
- 基準3: 取扱分野ごとのページがあるか
- 基準4: 表示速度が遅くないか
- 基準5: デザインが10年以上前のままでないか
5つすべてに問題がなければリニューアルは不要です。1つだけ該当する場合は部分改修で対応できることが多いです。複数の基準に該当する場合は全面リニューアルのほうが効率的です。
最も優先度が高いのは基準1(スマートフォン対応)です。スマートフォンで正しく表示されないサイトは、検索順位と訪問者の双方に影響があります。他の基準に問題がなくても、基準1だけで対応する価値があります。