開業直後の弁護士がホームページ制作で作った実績と成果の出た実績を見分ける方法

開業前に知っておくこと — 「作った件数」と「成果が出た件数」は別の話

独立準備中にホームページの制作会社を探していると、「制作実績○○件」という数字が目に入ります。数が多いほど安心に見えます。ただ、作った件数が多いことと、作ったサイトで実際に集客できていることは、同じとは限りません。開業前の限られた時間の中で、この2つをどう区別すればよいか分からないまま制作会社を選んでしまうと、サイトが公開されても相談が来ない状態になることがあります。

制作実績と集客実績は、制作会社に聞く項目を分ければ区別できます。この記事では、制作会社の実績が「作った数」なのか「成果の出た数」なのかを見分けるための確認手順を、聞く順に5つ示します。

確認の全体像 — 5つの手順を順に踏む

順序 やること 確認の目的
手順1 実績の数え方を聞く 「制作実績」に何を数えているかを知る
手順2 弁護士の案件があるかを確かめる 業種が違えば集客の前提が違う
手順3 公開後の数字を持っているかを聞く 作っただけか、公開後も見ているかが分かる
手順4 その数字をどう測ったかを聞く 数字の出どころが分かれば信頼できるか判断できる
手順5 自分の事務所で再現できる条件かを確かめる 他の事務所の成果が自分にも当てはまるとは限らない

この順番にしている理由は、前の手順の答えが次の手順の前提になるからです。数え方が分からなければ弁護士の案件を絞れません。弁護士の案件があっても公開後の数字がなければ成果は確認できません。

手順1 実績の数え方を聞く

制作会社のサイトに「制作実績200件」と書いてあるとき、その200件が何を数えたものかは、聞かないと分かりません。

数え方の違い 含まれるもの 注意すること
新規制作だけを数えている ゼロから作ったサイトの数 リニューアルや一部改修は含まない
リニューアルも含めて数えている 新規+既存サイトの作り直し 件数は多くなりやすい
ページ単位で数えている ランディングページや下層ページも1件 サイト単位の件数とは大きく異なる
グループ会社を合算している 複数の会社や部門の実績をまとめている その会社自体の実績とは限らない

聞き方の例としては、「制作実績○○件の内訳を教えてください。新規制作とリニューアルはそれぞれ何件ですか」「ページ単位ですか、サイト単位ですか」といった形が考えられます。

手順2 弁護士の案件があるかを確かめる

制作実績が多くても、そのなかに弁護士のサイトがなければ、弁護士向けの集客に慣れているかは分かりません。

弁護士のホームページには、他の業種にはない特徴がいくつかあります。取扱分野ごとにページを分ける構成、弁護士費用の見せ方、弁護士広告に関する規程への配慮などは、他の業種のサイトとは考え方が異なります。

開業前の事務所は、これに加えて「まだ実績がない」「事例を載せられない」という事情があります。そうした状況でもサイトの中身を組み立てられる制作会社かどうかは、弁護士のサイトを作った経験の有無で変わります。

聞くのは次の点です。

  • 弁護士(または法律事務所)のサイトを何件作ったことがあるか
  • そのうち、実際に公開されているサイトを見せてもらえるか
  • 開業したばかりの事務所のサイトを作った経験があるか
  • 弁護士以外の士業を含めた件数か、弁護士だけの件数か

手順3 公開後の数字を持っているかを聞く

制作会社の仕事は「サイトを作って納品する」で終わる場合と、「公開後のアクセスや問い合わせの数を一緒に見る」ところまで含む場合があります。この違いが、作った実績と成果の出た実績の分かれ目です。

聞くのは次の点です。

  • 納品後に、アクセス数や問い合わせ数のレポートを出しているか
  • レポートを出している場合、どのくらいの期間続けているか
  • レポートの対象は全クライアントか、一部のクライアントか

「制作実績200件」のうち、公開後の数字まで把握しているのが一部だけであれば、残りは「作ったが、その後どうなったかは分からない」案件です。開業直後の事務所にとっては、作ったあとも一緒に数字を見てくれるかどうかが、サイトを育てていけるかどうかに影響します。

手順4 その数字をどう測ったかを聞く

手順3で「公開後の数字を持っている」と分かった場合、次に確認するのは測り方です。

たとえば「問い合わせが月に○件増えた」という実績を見たとき、何を問い合わせとして数えているかは制作会社によって異なります。

測り方の違い 含まれるもの 注意すること
フォームの送信数 問い合わせフォームから送られた件数 営業メールや間違い送信も含まれる場合がある
電話の着信数 事務所への電話の回数 既存の依頼者からの電話も混ざる場合がある
相談の予約数 実際に相談の予約につながった数 予約後のキャンセルは含まない場合がある
アクセス数 サイトを訪れた人の数 アクセスが増えても問い合わせが増えるとは限らない

聞くのは次の点です。

  • 「問い合わせ○件」と言っている場合、何を問い合わせとして数えているか
  • その数字はどのツールで取っているか
  • 比較している期間はいつからいつまでか

数字の測り方を聞くことで、制作会社が出している実績の意味を具体的に理解できます。測り方が曖昧な場合や、聞いても明確に答えられない場合は、その数字をそのまま判断材料にするのは慎重にしたほうがよいと考えます。

手順5 自分の事務所で再現できる条件かを確かめる

手順1〜4で中身が分かったとして、最後に確認するのは、その実績が自分の事務所にも当てはまる条件かどうかです。

ホームページの集客は、制作会社の技術だけで決まるものではありません。事務所の立地、取扱分野、競合する事務所の数、広告にかけられる予算、サイト公開後にどの程度コンテンツを更新できるかなど、事務所側の条件によって結果は変わります。

開業前の事務所は、既存の事務所と比べて条件が異なる部分が多くあります。まだ実績がない、知名度がない、予算が限られている、コンテンツを更新する時間が取りにくい、といった事情です。制作会社が見せてくれた成功事例が、複数名の既存事務所の実績であれば、一人で開業する事務所にそのまま当てはまるかは分かりません。

聞くのは次の点です。

  • 成功事例の事務所は、弁護士が何名くらいの規模か
  • どの取扱分野で成果が出たか
  • サイト公開後に、事務所側でどのくらいの頻度でコンテンツの更新をしたか
  • 広告費をかけている場合、月額でどのくらいの規模か

聞いた内容を自分の事務所の状況と並べてみます。

確認する項目 成功事例の事務所 自分の事務所
弁護士の人数 (聞いた数を記入) 1名(開業時)
主な取扱分野 (聞いた分野を記入) (自分の分野を記入)
サイト公開後の更新頻度 (聞いた頻度を記入) (自分が割ける頻度を記入)
月額の広告費 (聞いた金額を記入) (自分がかけられる金額を記入)
公開からの経過期間 (聞いた期間を記入) (自分が待てる期間を記入)

差が大きい項目があれば、「その差があっても同じような結果が見込めるか」を制作会社に率直に聞いてみることをおすすめします。

まとめ

制作会社の実績が「作った数」なのか「成果の出た数」なのかは、件数を見ただけでは区別できません。区別するには、数え方を聞き、弁護士の案件があるかを確かめ、公開後の数字を持っているか、その数字をどう測ったかを聞き、最後に自分の事務所で再現できる条件かを確かめる、の5つの手順を踏みます。

開業前の事務所は、既存の事務所とは条件が異なります。まだ実績がなく、知名度もなく、予算も限られています。5つの手順で聞いた結果を自分の事務所の状況と並べて、条件の近い事例を持っている制作会社を選ぶことが、開業後にサイトを育てていくための出発点になります。

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