独立準備中の弁護士がホームページ制作で用意する原稿と写真の準備手順

開業準備と並行してサイトの素材を揃える — 原稿・写真・基本情報の全体像

制作会社と契約を済ませたが、その後どう進めるのか説明がない。何を出せばよいか分からないまま日が過ぎていく。開業準備では登録手続き、事務所探し、備品の手配と並行して動いているため、サイトの素材準備に手が回らなくなります。原稿を書くように言われたが、どのページの原稿をどこまで書けばよいのか分からない。写真は自分で撮るのか、カメラマンが来るのか聞いていない。

こうした状態は、制作会社との間で「事務所側が何を、いつまでに、どんな形で出すか」が共有されていないときに起きます。初めてサイトを作る段階では、何を聞けばよいかも分かりません。

この記事では、事務所が用意するものを「基本情報」「原稿」「写真・画像」の3つに分けたうえで、制作の流れの中でいつ・どの形で出すかを整理します。

事務所が用意するものは3つに分かれる

制作会社に渡すものは、大きく3つの領域に分かれます。

領域 含まれるもの 出すタイミングの目安
基本情報 事務所名・所在地・電話番号・営業時間・所属弁護士会・メールアドレス・ロゴ・ドメイン 契約直後〜構成案の確定前
原稿 各ページの本文・プロフィール文・取扱分野の説明・費用の説明・相談の流れの説明 構成案の確定後〜デザインカンプの確認前
写真・画像 弁護士の顔写真・事務所の外観と内観・ロゴ 構成案の確定後〜コーディング前

制作プロジェクトの流れは、おおむね「ヒアリング → 構成案 → デザインカンプ → コーディング → テスト → 公開」という順を取ります。事務所が出すものは、この流れの中で上流から順に求められます。上流で出すべきものが遅れると、下流の工程が全体的に後ろにずれ、開業日に公開が間に合わなくなります。

3つの領域のうち、最も時間がかかるのは原稿です。開業準備で他のタスクに追われている時期に原稿が止まると、プロジェクト全体が止まります。

基本情報 — 最初に出すもので、一番早く揃う

基本情報は、制作プロジェクトの最初期に求められます。ヒアリングの時点で伝えることが多く、制作会社はこの情報をもとにサイトの構成案を組みます。

項目 開業準備中に確認すること
事務所の正式名称 弁護士会への届出名と、サイトに載せる名称が異なる場合は、どちらを使うか決めておきます
所在地 事務所がまだ決まっていない段階では、決まり次第連絡する旨を制作会社に伝えます。ビル名・階数まで必要です
電話番号 開業用の電話番号を新規取得する場合は、取得のタイミングを制作会社に伝えます
営業時間・定休日 開業直後の受付時間を決めておきます。電話受付とフォーム受付を分けるかどうかも含めて判断します
所属弁護士会 登録番号も合わせて出すと、プロフィールページに使えます
メールアドレス 問い合わせ用のアドレスを事務所ドメインで新設するか、既存のアドレスを使うかを決めます
ロゴデータ 開業時にロゴがない場合は不要です。制作会社がテキストロゴを作ることが多いです
ドメイン 自分名義で取得済みか、これから取得するかを伝えます

開業準備中は、事務所の所在地や電話番号がまだ決まっていないことがあります。決まっている項目から先に出し、未定の項目は確定次第連絡する、という進め方で問題ありません。制作会社も開業前の事情を伝えれば柔軟に対応してくれることが多いです。

原稿 — 開業準備中に最も時間がかかる工程

原稿は、制作プロジェクトで事務所側の負担が一番大きい領域です。開業準備のタスクと並行して書く必要があるため、計画的に進めないと手が止まります。

どのページの原稿が必要か

ページ 原稿で書くこと 開業前の事務所での注意点
トップページ 事務所のキャッチコピー・特徴の要約 まだ実績がないため、「どんな相談者にどんな対応をするか」を中心に書きます
弁護士紹介 経歴・得意分野・自己紹介 勤務時代の経験を軸に書きます。自分の言葉で書く必要がある部分です
取扱分野ページ 分野ごとの説明 開業時に受ける分野が絞られている場合でも、分野ごとにページを用意するかどうかを制作会社と決めます
費用ページ 相談料・着手金・報酬金の考え方 料金体系が固まっていない段階でも、「初回相談の費用」「着手金の考え方」だけは書けます
相談の流れ 問い合わせから面談・受任までの手順 制作会社がたたき台を作れる場合もあります。開業後の対応フローが決まっていれば渡します
事例紹介 過去の対応事例 開業直後は掲載できる事例がないことがほとんどです。事例が増えたときに追加できる仕組みだけ用意しておきます
アクセス 所在地・地図・交通手段 基本情報から制作会社が作れる場合が多いです
お問い合わせ フォームの項目設計 どの項目を必須にするか、電話番号を聞くかどうかなどを決めます

原稿の書き方で手が止まりやすいところ

弁護士紹介ページの原稿。開業前は「独立した弁護士」としての実績がまだないため、何を書けばよいか迷います。勤務時代に取り組んだ分野、なぜ独立したのか、どんな相談に応じたいのかを中心に書くと、相談者にとって判断材料になります。制作会社のヒアリングで口頭で話した内容をもとにたたき台を作ってもらう方法もあります。

取扱分野ページの原稿。分野ごとに1ページ用意する場合、全分野を同時に書こうとすると量が多くなります。開業時に主力とする分野から書き、残りは開業後に追加する進め方が現実的です。

費用ページの原稿。金額を出すべきかどうか迷うことがあります。金額を一律に出せない場合でも、「初回相談は無料」「着手金と報酬金の考え方」「支払方法」は書けます。相談者にとっては、費用がどういう仕組みで決まるかが分かるだけでも判断材料になります。

事例紹介の原稿。開業直後は掲載できる事例がないことがほとんどです。事例ページを設けず、受任件数が増えてから追加する、という進め方で問題ありません。その旨を制作会社に伝えれば、事例ページを設けない構成に変更できます。

原稿の形式 — 完成した文章でなくても渡せる

制作会社に渡す原稿は、完成した文章である必要はありません。次のような形で渡す方法があります。

  • 箇条書き: 伝えたい要素を箇条書きで渡し、制作会社が文章に仕上げる
  • たたき台の修正: 制作会社がヒアリング内容をもとにたたき台を書き、弁護士が修正・加筆する
  • 完成原稿: 弁護士が本文をそのまま書く

どの形式で進めるかは、契約内容と制作会社の体制によります。開業準備で時間が限られている場合は、たたき台を制作会社に作ってもらい、修正する形が負担を抑えられます。契約時に「原稿はどこまで事務所が書くのか」を確認しておくと、あとで齟齬が出にくくなります。

写真・画像 — 開業前ならではの撮影タイミングの問題

写真と画像は、サイトの印象を大きく左右しますが、開業準備中は後回しにされやすい領域です。

用意する写真の種類

写真の種類 使われるページ 開業前の注意点
弁護士の顔写真 弁護士紹介・トップページ プロのカメラマンに撮影を依頼するのが一般的です。制作会社が手配する場合もあります
事務所の外観 アクセスページ・トップページ 事務所がまだ決まっていない場合は、決定後に撮影します。仮の画像で先に進めてもらう方法もあります
事務所の内観 弁護士紹介・トップページ 内装が整ったタイミングで撮影します。相談室の写真は相談者に安心感を与える材料になります
ロゴ ヘッダー・フッター 開業時にロゴがない場合は不要です

写真の手配で確認すること

  • カメラマンの手配は誰がするか。制作会社が手配する場合と、自分で手配する場合があります。費用の負担も含めて確認します
  • 撮影日の設定。開業前は事務所の内装や備品が揃うタイミングと、制作のスケジュールを合わせる必要があります。早めに日程を決めておかないと、公開が遅れます
  • 写真のデータ形式と解像度。自分で撮影する場合は、事前に必要な解像度を制作会社に確認しておくと撮り直しの手間が減ります

写真が間に合わない場合

開業前は、事務所の内装が間に合わない、事務所の場所がまだ決まっていないなど、撮影ができない状況がありえます。その場合は、制作会社に伝えて仮の画像で先にデザインを進めてもらい、撮影できたタイミングで差し替えるという進め方が現実的です。

弁護士の顔写真だけは、事務所の有無にかかわらず撮影できます。相談者が「誰に相談するのか」を判断する材料として影響が大きい要素ですので、早めに手配しておくことをおすすめします。

素材を出したあとの確認 — 開業準備と並行して見るタイミング

素材を出したあと、制作会社がそれをもとにサイトを組み立てます。この工程で事務所側に確認が求められるタイミングがあります。

タイミング 事務所が確認すること
構成案の提示 ページの構成とメニューの構造。自分が想定していた内容と合っているか
デザインカンプの提示 色・レイアウト・写真の配置・文字の大きさ。原稿がデザインに落とし込まれた状態
テストサイトの確認 実際のサイトとして動く状態。リンク・フォーム・表示崩れ・誤字を確認
公開前の最終確認 電話番号・住所・営業時間・弁護士名に誤りがないか。フォームの送信先が正しいか

開業準備中は他のタスクに追われていますが、確認の依頼が来たら放置せずに期日までに返すことが、開業日までに公開するために重要です。確認すべき範囲が分からない場合は、「どこを見ればよいか」を制作会社に聞いて構いません。

確認の段階で確認しておくチェックリストです。

  • 構成案: 取扱分野がページとして独立しているか。費用ページがあるか。相談の流れのページがあるか
  • デザインカンプ: 弁護士の写真が想定どおりの位置に入っているか。事務所名の表記が正しいか
  • テストサイト: お問い合わせフォームから送信して、メールが届くか。スマートフォンで表示して崩れていないか
  • 公開前: 電話番号に電話して繋がるか。住所をコピーして地図で検索して正しい場所が出るか

まとめ

ホームページ制作で事務所が用意するものは、「基本情報」「原稿」「写真・画像」の3つの領域に分かれます。基本情報はプロジェクトの最初に出し、原稿は構成案の確定後に、写真はデザインカンプまでに準備します。

開業準備中は、事務所の所在地や電話番号がまだ決まっていない、事例に載せる実績がない、事務所の写真が撮れないなど、既存の事務所とは異なる事情があります。決まっていない項目は確定次第連絡する形で先に進め、まだない素材は「いつ揃うか」を制作会社と共有しておくと、プロジェクトが止まりにくくなります。

原稿が最も時間がかかる工程です。完成原稿を一人で書き上げる必要はなく、箇条書きで渡す方法やたたき台を修正する方法もあるため、制作会社とどの形で進めるかを確認してください。制作会社から連絡がない場合は、この記事の一覧をもとに「何を、いつまでに出せばよいか」を自分から聞くことで、止まっているプロジェクトを動かせます。

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