弁護士がポータルサイトを選ぶときに比較すべき項目と確認の手順
独立して事務所を開いたばかりの時期に、どのポータルサイトに掲載するか決めたいが判断材料が少ない。掲載料は問い合わせ制で事前に比較できない。ネットの情報はマーケティング会社やポータル運営者が書いたものばかりで、中立的な整理が見つからない。開業直後の事務所ほど、この状況で判断に迷うことが多い。
結論から言えば、ポータルサイトの比較は掲載料の額ではなく、集客力・分野適合・料金体系の仕組み・サポート体制の4つの軸で行う。この記事では、この4つの比較軸と、比較を進める具体的な手順を整理する。
掲載料の比較ではなく「比較の枠組み」が必要な理由
ポータルサイトを選ぶとき、多くの弁護士がまず知りたいのは掲載料だろう。しかし、主要なポータルサイトの掲載料は問い合わせ制で、事前に一覧で比較することができない。
仮に掲載料が分かったとしても、料金だけで選ぶと失敗しやすい。安いプランは露出が限られることが多く、高いプランでも自分の注力分野と合わなければ問い合わせにつながらない。
必要なのは、掲載料の額を並べることではなく、何を基準に比較すればよいかという枠組みを先に持つことだ。枠組みがあれば、営業担当から説明を受けたときにも、聞くべきことが明確になる。開業直後で掲載経験がない段階こそ、この枠組みが判断の軸になる。
以下、比較すべき4つの軸を順に説明する。
比較軸1 集客力 — そのポータルに相談者が来ているか
ポータルサイトに掲載する目的は、相談者からの問い合わせを得ることだ。そのためには、そのポータルに相談者がどの程度アクセスしているかを確認する必要がある。
確認すべきポイントは3つある。
- 月間アクセス数の規模 — SimilarWebなどの外部ツールで概算を確認できる。数値の正確性には限界があるが、ポータル間の規模感の比較には使える
- 自分の注力分野での検索順位 — 「離婚 弁護士 地域名」「相続 弁護士 地域名」など、自分が受任したい分野と商圏のキーワードで検索し、そのポータルが上位に表示されるかどうか。表示されていなければ、そのポータル経由で相談者が来る可能性は低い
- 掲載弁護士の数 — 同じ分野・同じ地域に何人の弁護士が掲載されているか。少なすぎるとポータル自体の集客力が弱い可能性がある。多すぎると埋もれるリスクがある
集客力が高いポータルに掲載しても、自分の分野・地域での集客力が弱ければ意味がない。全体のアクセス数ではなく、自分の分野と地域に絞って確認することが重要だ。
比較軸2 分野適合 — 自分の注力分野に強いポータルか
ポータルサイトにはそれぞれ得意な分野がある。弁護士ドットコムのように幅広い分野をカバーする総合型もあれば、離婚・相続・交通事故など特定分野に強い特化型もある。
確認すべきポイントは次のとおりだ。
- 分野別のページ構成 — そのポータルが自分の注力分野について、独立した分野ページやコンテンツを持っているか。分野ページがなければ、その分野で検索してくる相談者を集めていない可能性が高い
- 分野別の検索順位 — 前述と同じ方法で、自分の注力分野のキーワードでの検索順位を確認する
- 分野別の掲載弁護士数 — 自分の注力分野に掲載している弁護士が極端に少ない場合、そのポータルはその分野に力を入れていない可能性がある
総合型のポータルが常に有利というわけではない。自分が受任したい分野で相談者を集めているポータルかどうかが基準になる。独立直後で注力分野を決めたばかりであれば、その分野で検索上位に出ているポータルを優先すべきだ。
比較軸3 料金体系の仕組み — 月額制・成果課金・クリック課金の違い
掲載料の額は非公開でも、料金体系の仕組みは営業担当に聞けば教えてもらえる。仕組みの違いを理解しておくことで、自分の事務所に合うプランを見極めやすくなる。
ポータルサイトの料金体系は、大きく3つに分かれる。
- 月額固定制 — 毎月一定額を支払う。問い合わせの件数に関係なく費用が発生する。予算が読みやすい反面、問い合わせがゼロでも費用がかかる
- 成果課金制 — 問い合わせや相談予約が発生した場合のみ課金される。初期費用のリスクが低い反面、問い合わせが増えると費用も増える
- クリック課金制 — プロフィールページへのクリックごとに課金される。表示されるだけでは費用が発生しないが、クリックが問い合わせにつながらないケースも費用としてカウントされる
営業担当に聞くべきことは、次の4つだ。
- 料金体系の種類(月額・成果課金・クリック課金のどれか)
- 最低契約期間があるか
- プランの変更や解約に制約があるか
- 掲載開始後にプランのアップグレード・ダウングレードができるか
料金の額を聞く前に、まず仕組みを確認する。仕組みが分かれば、自分の事務所の状況に合う料金体系を選べる。開業直後で問い合わせがまだ少ない段階なら、成果課金制やクリック課金制のほうが固定費を抑えられる。
比較軸4 サポート体制 — 掲載後に何をしてもらえるか
ポータルサイトによって、掲載後のサポート体制は大きく異なる。掲載すれば終わりではなく、掲載後の運用で効果が変わるからだ。
確認すべきポイントは次のとおりだ。
- プロフィールの編集サポート — 自分で編集できるのか、担当者に依頼する形か。編集のアドバイスをもらえるか
- 効果測定のレポート — 管理画面でアクセス数・問い合わせ数・電話件数などを確認できるか。どの程度の粒度で把握できるか
- 担当者の有無 — 専任の担当者がつくのか、問い合わせは一般窓口のみか。掲載後に相談できる相手がいるかどうかは、特に初めて掲載する場合に重要だ
- 改善提案の有無 — 掲載後に「こう変えたほうが効果が出る」といった提案をもらえるか。開業直後はポータルサイトの運用経験がないため、改善提案があるかどうかで効果は大きく変わる
サポート体制は、掲載料の高低とは必ずしも連動しない。高いプランでもサポートが薄いケースがある。営業時点で確認しておくことを勧める。
まとめ
ポータルサイトの比較は、掲載料の額ではなく、次の4つの軸で行う。
- 集客力 — 自分の注力分野と商圏で、そのポータルに相談者が来ているか
- 分野適合 — 自分が受任したい分野に強いポータルか
- 料金体系の仕組み — 月額制・成果課金・クリック課金のどれで、契約条件はどうなっているか
- サポート体制 — 掲載後にどこまでサポートしてもらえるか
掲載料が非公開である以上、営業担当と話す前にこの4つの比較軸を整理しておくことで、聞くべきことが明確になり、場当たり的な判断を避けられる。独立直後でポータルサイトの掲載経験がなくても、判断の枠組みを持っていれば、自分の事務所に合った選択ができる。