サイトにページが増えてきた。離婚のページ、相続のページ、ブログ記事もいくつかある。しかしページ同士のリンクは成り行きで付けただけで、体系的に整理したことがない。独立・開業にあたってサイトを立ち上げたものの、ページ間のつながりを意識して設計する余裕がなかったという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、法律事務所のサイトにおけるページ階層の基本構造を示したうえで、分野別ページから記事へ、記事から分野別ページや相談フォームへのリンクの張り方を、具体的なパターンで説明します。自分のサイトのページ構成と照らし合わせて、足りないリンクを補ってください。
内部リンクが整理されていないと検索エンジンがサイト構造を理解できない
内部リンクとは、同じサイト内のページ同士をつなぐリンクのことです。外部のサイトからのリンク(被リンク)とは異なります。
内部リンクには、2つの役割があります。
役割1: 検索エンジンにサイトの構造を伝える
Googleのクローラーは、リンクをたどってページを発見します。あるページからリンクされていないページは、クローラーが発見しにくくなります。また、多くのページからリンクされているページは「サイト内で重要なページ」と判断されやすくなります。
Googleは公式ドキュメントで「サイトのナビゲーションは、ユーザーが必要なコンテンツにすばやくたどり着けるよう、重要なページへのリンクを含める必要があります」と述べています。
役割2: 読者を関連ページに誘導する
記事を読んだ読者が「もっと詳しく知りたい」と思ったとき、関連するページへのリンクがなければ、読者はそこで離脱します。関連ページへのリンクがあれば、読者がサイト内を回遊し、最終的に相談フォームや電話番号にたどり着く可能性が高まります。
内部リンクが整理されていない場合に起こる問題
| 問題 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 孤立したページがある | 他のページからリンクされていないページは、クローラーに発見されにくく、インデックスされない可能性がある |
| 重要なページへのリンクが少ない | 分野別ページや相談フォームへのリンクが少ないと、検索エンジンがそのページの重要性を低く評価する |
| 読者が次のページを見つけられない | 記事を読み終わった読者が離脱し、相談につながらない |
| サイトの階層が不明確 | トップページ → 分野別ページ → 個別記事、という構造がリンクで示されていないと、検索エンジンがサイト全体のテーマを把握しにくくなる |
法律事務所サイトの典型的なページ階層
内部リンクを整理する前に、まずサイトのページ階層を把握する必要があります。法律事務所のサイトは、一般的に次のような3層構造になります。
第1層: トップページ
サイトの入り口であり、すべてのページの起点になります。事務所の概要、取扱分野の一覧、アクセスなどの基本情報を掲載します。
第2層: 分野別ページ(カテゴリページ)
取扱分野ごとに1ページずつ設けます。離婚、相続、交通事故、債務整理など、事務所が対応する分野の数だけページがあります。各分野の概要、対応できる手続き、弁護士に依頼するメリットなどを掲載します。
第3層: 個別記事(ブログ・コラム)
各分野に関連するテーマで書いた記事です。「養育費は何歳まで請求できるか」「相続放棄の期限が過ぎたらどうなるか」のような、具体的な疑問に答える記事がここに入ります。
この3層構造を図式化すると次のようになります。
| 層 | ページの種類 | 例 |
|---|---|---|
| 第1層 | トップページ | ○○法律事務所 |
| 第2層 | 分野別ページ | 離婚 / 相続 / 交通事故 / 債務整理 |
| 第3層 | 個別記事 | 養育費は何歳まで / 相続放棄の期限 / 示談金の相場 / 自己破産のデメリット |
これに加えて、すべての層から独立してリンクされるべきページがあります。
- 相談フォーム・電話番号ページ(全ページからアクセスできるべき)
- 弁護士紹介ページ(プロフィール)
- 事務所概要・アクセスページ
内部リンクの目的は、この階層構造をリンクで明示し、検索エンジンと読者の両方にサイトの構造を伝えることです。
自分のサイトの階層を確認する方法
まず、自分のサイトのすべてのページを書き出します。次に、上記の3層構造に当てはめて、どのページがどの層に該当するかを整理します。このとき、次のような問題がないか確認してください。
- 第2層(分野別ページ)がない。すべての分野を1ページにまとめている
- 第3層(個別記事)が第2層と紐付いていない。記事がどの分野に属するかが不明確
- そもそも第3層(個別記事)がない。記事がゼロの状態
第2層がない場合は、分野別ページを作ることが先決です。第3層がない場合は、記事を書くことが先決です。内部リンクの整理は、ページが揃ってから行う作業です。
分野別ページから関連記事へのリンクの張り方
第2層(分野別ページ)から第3層(個別記事)へのリンクは、内部リンクの中で最も重要な部分です。このリンクによって、分野別ページが「その分野のハブ(中心)」として機能します。
基本パターン: 分野別ページの下部に関連記事一覧を設ける
分野別ページの本文(分野の概要・対応手続き・弁護士に依頼するメリットなど)の下に、その分野に関連する記事の一覧を設けます。
離婚分野のページの場合、次のような構成になります。
- (本文: 離婚の概要、対応できる手続き、弁護士に依頼するメリット)
- 「離婚に関する記事」という見出し
- 関連記事へのリンク一覧
リンク一覧には、タイトルだけでなく1〜2行の説明文を付けるとよいです。読者がどの記事を読めばよいか判断しやすくなります。
| 記事タイトル(リンク) | 説明文 |
|---|---|
| 養育費は何歳まで請求できるか | 養育費の支払い期間と、大学進学時の取り決めについて解説 |
| 離婚調停の流れと期間 | 申立てから成立までの手順と、かかる期間の目安を整理 |
| 不倫の慰謝料の相場と請求方法 | 慰謝料の金額の目安と、証拠の集め方を説明 |
本文中からの自然なリンク
記事一覧に加えて、分野別ページの本文中からも関連記事にリンクします。本文の流れの中で自然に言及できる場合に限ります。
たとえば、離婚分野のページで「養育費の取り決め」について触れている箇所があれば、「養育費の支払い期間の詳細は〈養育費は何歳まで請求できるか〉で解説しています」のようにリンクします。
リンクの数の目安
分野別ページから関連記事へのリンクは、5本〜15本が目安です。記事が少ないうちは、あるだけのすべての記事をリンクすれば十分です。記事が20本を超えてきたら、特に読まれている記事や、相談に直結するテーマの記事に絞ります。
記事から分野別ページ・相談フォームへのリンクの張り方
第3層(個別記事)から第2層(分野別ページ)および相談フォームへのリンクも重要です。記事は検索から直接アクセスされることが多いため、記事をサイト内回遊の起点として機能させる必要があります。
パターン1: 記事の末尾に分野別ページへのリンクを張る
記事を読み終わった読者に、その分野の全体像を示す分野別ページへ誘導します。
記事「養育費は何歳まで請求できるか」の末尾に、次のようなリンクを設けます。
「当事務所の離婚に関する対応内容は、〈離婚〉のページをご覧ください。」
このリンクにより、養育費の個別の疑問から、離婚分野全体の対応範囲を確認する流れが生まれます。
パターン2: 記事の末尾に相談フォームへのリンクを張る
記事を読んで「相談したい」と思った読者を、相談フォームや電話番号に誘導します。
記事の末尾に、次のようなセクションを設けます。
- 事務所の連絡先情報(電話番号・受付時間)
- 相談フォームへのリンク
- 「初回相談無料」などの条件がある場合はその表示
重要なのは、すべての記事に同じ形式で相談導線を設けることです。記事によってあったりなかったりすると、せっかくの相談意欲を取りこぼします。WordPressを使っている場合、記事テンプレートに組み込むことで、自動的にすべての記事に表示される設定にできます。
パターン3: 記事の本文中に関連する別の記事へのリンクを張る
記事の中で、関連するテーマに触れている箇所があれば、そのテーマを扱った別の記事にリンクします。
たとえば、「養育費は何歳まで請求できるか」という記事の中で離婚調停に触れた場合、「離婚調停の流れについては〈離婚調停の流れと期間〉で詳しく解説しています」のようにリンクします。
関連記事へのリンクを張る際のルールは次のとおりです。
| ルール | 理由 |
|---|---|
| 本文の流れの中で自然に言及する | 唐突にリンクを挿入すると、読者の読解を妨げる |
| リンク先が本当に関連する内容であること | 関連性の薄いリンクは、読者にもGoogleにも評価されない |
| 1つの記事からのリンクは3〜5本を目安にする | リンクが多すぎると、どれが重要か分からなくなる |
| アンカーテキスト(リンクの文言)を具体的にする | 「こちら」「詳しくはこちら」ではなく、リンク先の内容が分かる文言にする |
アンカーテキストの良い例と悪い例
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 詳しくは<a>こちら</a> | <a>離婚調停の流れと期間</a>で詳しく解説しています |
| <a>ここをクリック</a> | <a>養育費の支払い期間</a>についてはこちらの記事をご覧ください |
Googleはアンカーテキストの内容を、リンク先ページのテーマを理解するために使っています。「こちら」では何の情報もありませんが、「離婚調停の流れと期間」であれば、リンク先がそのテーマについて書かれていることが伝わります。
パターン4: パンくずリストを設置する
パンくずリストとは、「トップページ > 離婚 > 養育費は何歳まで請求できるか」のように、現在のページがサイトのどの位置にあるかを示すナビゲーションです。
パンくずリストには次の効果があります。
- 読者がサイト内の現在位置を把握できる
- 上位のページ(分野別ページ・トップページ)へのリンクが常に表示される
- Googleがサイトの階層構造を理解する手がかりになる
- 検索結果にパンくずリストが表示されることがあり、クリック率の向上が期待できる
WordPressを使っている場合、Yoast SEOやRank Mathなどのプラグインでパンくずリストを自動生成できます。テーマによっては標準機能で対応しています。
まとめ
法律事務所のサイトで内部リンクを整理するには、まずサイトのページ階層を把握することが出発点になります。トップページ → 分野別ページ → 個別記事の3層構造を基本とし、各層の間をリンクでつなぎます。
分野別ページから関連記事へは、記事一覧と本文中の自然なリンクで接続します。個別記事からは、分野別ページへの誘導、相談フォームへの導線、関連記事へのリンクの3つを設けます。すべての記事に同じ形式で相談導線を設けることが特に重要です。アンカーテキストは「こちら」ではなくリンク先の内容が分かる具体的な文言にします。パンくずリストを設置すれば、階層構造がGoogleにも読者にも伝わり、上位ページへのリンクが自動的に確保されます。