独立準備中の弁護士がホームページ制作会社の制作実績の件数を確かめる方法

開業前に制作会社を比べるとき、制作実績の件数をどう読むか

独立準備中にホームページの制作会社を探し始めると、各社のサイトに「制作実績800件」「弁護士・法律事務所70事務所」といった数字が並んでいます。多いほうが信頼できるのか。800件の中に弁護士のサイトがどれだけ含まれているのか。70事務所のサイトが実際に集客できているのか。件数だけ見ても比較の材料にならないまま、開業準備の時間が過ぎていきます。

制作実績の数字は、何を数えているかが会社によって違います。同じ「件数」でも、中身を確かめずに多い少ないを比べると、選ぶ基準にならないまま時間だけかかります。

この記事では、制作実績の件数で確かめるべき点を、数え方の違い・弁護士案件の含まれ方・公開後の集客実績の3つの層に分けて整理します。

制作実績の件数は3つの層に分けて確かめる

制作会社の実績を比べるとき、件数の多さだけを見ると判断を誤りやすい理由があります。件数には3つの層があり、それぞれ確かめることが違います。

確かめること 見ないとどうなるか
数え方 何を1件と数えているか 全業種の合計か、ページ単位の数えかで桁が変わる
業種 弁護士・法律事務所の案件がどれだけ含まれているか 件数が多くても弁護士のサイトを作った経験がほぼない場合がある
集客 制作したサイトが公開後に集客できているか 見た目は整っていても、相談の問い合わせにつながっていない場合がある

上の層から順に確かめていくと、件数の多寡に惑わされずに済みます。数え方が揃っていなければ比較そのものが成り立ちません。

数え方の層 — 「1件」が指すものは会社によって違う

制作実績の「件数」で最初に確かめるのは、何を1件と数えているかです。

制作会社によって、数え方に次のような違いがあります。

  • サイト単位: 1つの事務所のサイト全体を1件と数える
  • ページ単位: 1つのサイト内のページごとに1件と数える
  • 案件単位: 新規制作・リニューアル・ページ追加をそれぞれ1件と数える
  • 全業種の累計: 弁護士に限らず、全業種の制作実績を合算している

「制作実績800件」がサイト単位なら800サイトですが、ページ単位なら100サイト程度かもしれません。全業種の累計なら、弁護士のサイトは数十件ということもあります。

制作会社のサイトに数え方の説明がない場合は、問い合わせの段階で「この件数はサイト単位ですか、ページや案件を含めた数ですか」と聞きます。開業準備で時間が限られている中で、件数の比較に意味がないまま複数社を検討するのは避けたいところです。

業種の層 — 弁護士の案件がどれだけ含まれているか

数え方を確かめたら、次は弁護士・法律事務所の案件がどれだけ含まれているかを見ます。

「士業特化」と書かれていても、税理士・司法書士・行政書士を含めた士業全体を指している場合があります。弁護士のサイトと他の士業のサイトでは、載せる内容が違います。取扱分野の構成、費用の出し方、広告に関する規程の扱いが異なるため、他の士業で件数が多くても弁護士のサイト制作に慣れているとは限りません。

開業前の事務所がとくに確認すべきことがあります。

確認項目 見るところ 開業前の事務所にとっての意味
弁護士の事例の数 制作事例ページで「弁護士」「法律事務所」に絞り込めるか 弁護士のサイトを作った経験があるかどうかで、開業時に必要なページ構成への理解が違います
事例の情報量 スクリーンショットだけか、制作の背景や成果が書かれているか 背景が書かれている事例は、制作過程で何を考えたかが読み取れます
事例の更新頻度 最新の事例がいつのものか 事例が数年前で止まっている場合、現在の体制と異なる可能性があります
事務所の規模 掲載事例の事務所が個人か法人か 一人で開業する場合、同じような規模の事例があるかどうかが参考になります

制作事例ページが非公開、またはごく少数しか掲載されていない会社もあります。その場合は、商談の段階で「弁護士のサイトを直近で何件制作しましたか」「開業したばかりの事務所のサイトを作った経験はありますか」と尋ねます。

集客の層 — 制作後に相談の問い合わせが来ているか

制作実績の件数と業種を確かめたうえで、最後に見るのが集客の実態です。サイトを作ったあと、そのサイト経由で相談の問い合わせが来ているかどうかは、件数だけでは分かりません。

制作会社の中には、デザインと構築だけを請け負い、公開後の集客は範囲外としている会社があります。逆に、制作から集客支援まで一括で請け負う会社もあります。

制作会社への問い合わせや商談で、次のことを聞くと判断材料になります。

  • 制作したサイトの中で、ホームページ経由の問い合わせが増えた事例はあるか
  • その事例で、どのような施策を行ったか
  • 公開後のサポートとして、アクセス解析のレポートや改善の提案はあるか
  • サポートの期間と費用はどうなっているか

開業直後の事務所にとっては、サイトを作ること自体が初めてです。公開後にどうすればよいかが分からないまま放置されると、サイトはあるが相談が来ない状態が続きます。制作会社が公開後も関わってくれるかどうかは、開業前の段階で確認しておく価値があります。

件数以外に確かめたほうがよいこと — 担当者の経験

件数を3層で確かめたあと、もう1つ見ておくと判断の助けになるのが、実際に担当する人の経験です。

制作会社の規模や体制によって、実績の件数の意味が変わります。会社の件数が多くても、自分の案件を担当する人が弁護士のサイトを初めて作るという場合もあります。

確かめることは次の3点です。

  • 弁護士のサイトを担当するのは誰か(営業と制作が別の場合、制作の担当者に会えるか)
  • その担当者が過去に弁護士のサイトをいくつ手がけたか
  • 1つの案件にかけるおおよその期間はどれくらいか

開業前の事務所は、制作会社と長く付き合うことになる可能性があります。担当者の経験を先に確かめておくと、件数の数字だけでは見えなかった情報が得られます。

確認項目を整理する — 問い合わせ前のチェック表

ここまでの確認項目を、問い合わせや商談の前に使える形でまとめます。

確認の層 質問・確認すること 自分の確認結果
数え方 件数はサイト単位か、ページ・案件を含む数か
数え方 全業種の合計か、弁護士に限った数か
業種 弁護士・法律事務所の制作事例は何件あるか
業種 事例の最新はいつか
業種 一人で開業する事務所と近い規模の事例があるか
集客 制作後にHP経由の問い合わせが増えた事例はあるか
集客 公開後の改善サポートは含まれるか
体制 弁護士のサイトを担当する人の経験

この表を使って複数の制作会社を並べると、件数の多寡ではなく、自分の事務所にとって意味のある比較ができます。

まとめ

制作実績の件数は、そのまま比べても判断材料になりません。何を1件と数えているかを揃え、弁護士の案件がどれだけ含まれているかを確かめ、制作後に集客の実態があるかを見る。この3層を順に確かめることで、件数の大きさに惑わされず、開業前の自分の事務所に合った制作会社かどうかを判断できます。

開業準備で時間が限られる中、制作会社選びに時間をかけすぎるわけにもいきません。まずは気になる制作会社の制作事例ページを開いて、弁護士の事例がいくつ掲載されているかを数えるところから始めてみてください。

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